アイドルマスター・ゼロ


 ちょっと待て。


 本当にゲームにしてくれ、これを。


 先日「ファントム・オブ・エリー」というお気に入りを紹介しておいて、またニコマスの良作を紹介するとなるとありがたみが薄れるかもしれないけれど、ちょっとこれは紹介せずにおれない動画だ。

 ファントム・オブ・エリーが「オリジナルストーリーと見せかけて最後に公式ストーリーに引っ掛けてくる変化球」だとすれば、こちらはいきなり剛速球のストレートだ。ただし、ど真ん中ではなく、ちょっと変わったコースをついてきている。
 これは「アイドルマスター本編の1さ……1XX(チョメチョメ)年前に起きたかもしれない出来事」を描いた物語である。それは動画の冒頭「小鳥がアイドルだった頃の話」と語られるのですぐわかる。
 あとはもう、ひたすらこちらが「昔こんなことがあったんじゃないか」「こんなことがあったら面白いのに」という、スタンダードな「アイマスファンの想像する小鳥のアイドル時代」を丁寧にたどっている。

 基本的にアイドルマスターDSで登場した親世代、先輩世代の設定と、PSP版で明かされた設定を組み合わせて場面ごとに描いているだけなのだが……。
 見てるだけで吹いたのは過去マダオ。こんなアイドルだったんじゃないかなーとは思うけど、まんま現在マダオの宿敵「サイネリア」の台詞(「鈴木っていうナー! ワタシはサイネリアなんデス!」)をパロっている。いがみ合うのは近親憎悪だったという解釈ねw

 そしてシェリル=オーガ=日高舞
「たかだか歌って踊るだけの単純な楽しみに努力とか何とか──上等なお菓子にカラシをブチまけるみたいな考え方!」


 どうみても範間勇次郎です。 


 本当に恐ろしいのはこれが公式設定(!)に合致しているということ。彼女は娘に「自分の辞書に努力という言葉はない、やってて楽しい努力ならしてもいい」と語っている。表現を変えれば↑だよね。
 でも、私の中の現役時代の日高舞はこんなイメージだ、マジでw 表向きは正統派アイドルだけど、実は持って生まれた才能でライバルたちを蹂躙し、粉砕しまくり、挙句「私にはライバルがいない」と言い放って芸能界を引退していく……。
 まさにこの動画の通りじゃないかw

 動画は後半予想外の展開を見せるが、これはPSP版のトゥルーエンドで高木社長が自ら語った過去のエピソードに沿ったもの(手紙も含め)で、理由もなく突拍子もないエピソードを描いているわけではない。



 その意味では、ゲーム本編と異なる時間軸を舞台にしているという点を除けば極めてスタンダードでオーソドックスな動画である。ちなみに全編手書き。この間紹介した動画もそうだがアイマスPの労力には頭が下がる。


 なお、この間紹介した3編の動画が「TRPGのGM的視点に近い動画」だとすれば、今日ご紹介したこの動画は(たぶん私のマスタリングでセッションしたことのある方ならお分かりと思うが)「私がよくやるシナリオの作り方と同じパターンの動画」である。
 いや、自分が以前やったシナリオの過去を描く話とか、登場したNPCが若かった頃の物語とか大好物なんです、私。