終わらなかったあの日々の続きを


 私自身についていえば、今のラノベ的なものが特に好きというわけではないし、フルメタル・パニックに求めていたものは極めて単純だ。


 私が求めていたのは、ついに完結することのなかった「蓬莱学園」の続きだ。


 未完で終わってしまった作品など、珍しくない。続刊の出ない作品なら、星の数ほどある。
 だが、蓬莱学園はそれらの作品とは違う。何しろ未完の小説の「後」に歴史がちゃんとあり、事件が起こり、世界が続いていることが、メイルゲームのプレイヤーやマスターたちによって語られているのだ。そこに「ある」とわかっているのに、望んでも手を伸ばしても届かない、この口惜しさがお分かりいただけるだろうか?
 賀東氏は、グランドマスターだった新城氏に次ぐ、蓬莱学園のメインライターの一人だった。だから私は、あの常夏の島の、大事件の予兆を感じさせたところで途絶えてしまった学園生活の続き、あのハチャメチャなお祭り騒ぎの毎日の続きをこそ、フルメタルパニックに望んでいたのだ。
 だから、新刊の評価基準もシンプルだ。


 これは蓬莱学園か? あるいはその続巻に、蓬莱学園の「匂い」を感じさせる「何か」はあるか?


 ……否。恐らく私の探している「何か」は、「ここ」にはない。もしかしたらそれは、永遠に見つからないのかもしれないが、それでも私は探し続けるのをやめないだろう。