ハードルを低くするために


http://www.4gamer.net/games/081/G008108/20100707080/


 まず,最初に言っておきたいのは,フルHD解像度でのゲームプレイは現時点では忘れておいたほうが幸せかもしれないということである。FFXIVは,数年後のPCスペックのメインストリームを想定して製作されているため実際のところ,現時点での最強構成を持ってきても高解像度では“快適”には届かない。
 しばらくの間は,“Low”のほうが一般的なゲーム環境に近いものと考えたほうがいいだろう。“Low”というと,なんとなく言葉のイメージはよくないのだが,“Low”とされている1280×768ドットだって,普通のゲームなら決して低解像度扱いなどはされないだけの情報量を持っている。それを忘れないようにしたい。


 また,スクウェア・エニックスから示されている“快適”や“やや快適”といった指標は,具体的にどれくらいの速度で動くことを示しているものなのかも分かりにくいかもしれない。“やや快適”というと,どこかに快適でない部分が残っているのではないかと疑ってしまいがちなのだが,“普通”の上であることを考えると,「普通以上に快適」な状態であることに注意したい。


 ここが重要な問題だ。先ほど私は「ローモードで何とか動く程度にマシンを改装した」と書いたが、実は、プレイする上では著しい障害はない。ちなみにローモードのスコアは2000ちょっと、動作可能な最低ライン1500と少ししか違わない。もちろん、ハイモードのスコアはいうまでもない低スペックの機械だ。1年半前のマシンに1万円ちょっとお金を掛けただけで、このレベルまでは到達できた。
 ハードウェアを売るショップとしては最新性能のPCを売りたいだろうけれど、FF14というタイトルの寿命を考えると、スクエニは「FF14はローモードでも遊べるのだ」ということをもっと前面に押し出した方がいい。記事中でも指摘されている「やや快適」辺りのネーミングは(「とてもとても強い敵」に通じるセンスを感じるが)、見直した方がいい。あるいは、公式サイトで(開発中と断った上で)スコアいくつならどれくらい滑らかに動くのかという指標として、動画を公開するとか色々方法はあるはずだ。
 私自身が今一番気になっているのは、Geforce330MでFF14がどれくらい動くかだ(もちろんローモードで)。これで動作するなら、私の周りに大勢いる「ノートでFF14やりたいんだけどな〜」と言っている人たちにも選択肢が出てくる。

 そして、技術的に可能かどうかわからないし、もしかしたら製品版では存在するのかも知れないが、ローモードより下の低解像度モードを用意してほしい。いや、むしろ今のローモードをミドルモードにして「その下のローモード」を作ってほしいというべきか。
 それだけでスタート時のマシンの選択肢はかなり広がるし、MMORPGとして裾野が広がり、運営が軌道に乗りさえすれば、ゆくゆくは高性能マシンがエントリークラスに降りてきた時買い換えるプレイヤーも出てくるだろう。今のままでは角を矯めて牛を殺すことにもなりかねない(FF11のハイエンド環境がFF14のローエンド環境にすら届かないというのは大きい)。
 低解像度モードが動作するスペックの指標としては、1〜2年前のメーカー製(ショップ製ではない)AVノート、あるいはデスクトップでギリギリ動作するラインが望ましい(統合チップセットではさすがに無理だろうが、独立した一世代前、あるいは二世代前のグラフィックチップを搭載したモデル)。普通、AV機能を重視した十万円以上するPCを買った人間は、たった数年でPCを買い換えたくはないはずだ。
 「その性能ではFF14の魅力がほとんど発揮できない!」と開発スタッフは悲鳴を上げるかも知れないが、プレイされることがなければその魅力に気づいてもらう機会は永遠に失われる。

 そして、それができない/技術的に難しい/時間がかかるのであれば、正式サービスを延期すべきだ。FF14を遊びたいと思っている人の中で、一刻も早く正式サービスをスタートしてほしい! と思っている人がどれだけいるというのか。むしろ「本当にこれで大丈夫なのか?」と思っている人の方が多いはずだ。そしてその懸念が単なる杞憂に過ぎないかどうかは、昨日からエオルゼアで何が起きているのか知っているベータテスターなら理解できるだろう。


 そして、PC版の正式スタートを先延ばしにしてでも、PS3版の発売を前倒しにすべきだ。FF11の時は低画質のPS2版のあとから高画質のPC版が発売されたからうまく受け入れられ、人によっては買い買えもしたが、今回は低画質のバージョンが後に発売されるという逆転現象が起きる。できるだけ発売時期を近づけないと、PS3版が見向きもされないことになりかねない(そして、そのためにもPC版には超低画質モードがあった方が都合がいいのだ)。
 時期が開けば開くほど運営スタッフには不利になる。
 往々にしてMMORPGは悪い評判ばかりが先行する傾向があるが、ゲームを購入してプレイした人なら、匿名掲示板の悪い評判などを目にしても「でも、実際面白いし」と無視することができる。しかしPS3版をやろうかどうか迷っている人は「ゲームがプレイできない状態で」悪い噂、悪い評判ばかりを目にすることになる。そのプレイヤー層が多くなればなるほど、FF14が失敗する可能性は増える。


 MMORPGはスタートダッシュが命だ。最初に躓いたタイトルが持ち直して成功した例はない。私ごときが思いつくことは、もちろん開発陣の方々は過去に検討していることだろうが、もう一度どうか再検討していただきたい。いや、私のいうことを聞けというのではなく、どうかFF14を成功させていただきたい。心から願っている。



※なお、今回のエントリ内容についてはベータテストのフィードバック項目に入っていないため、ブログに書かせていただきました。あしからず。