14番目の障壁

ファイナルファンタジーXIV


 FF14の正式サービス開始がついに2ヵ月後に迫った。

 FF14は成功するだろうか? 心情としては成功してもらいたい。FF14が失敗するようなことがあれば、日本でMMORPGの大規模な新作タイトルはもう作られないだろう。
 しかし、今の状況はとても楽観できるような情勢ではない。それどころか、本当にこれでいいのか? という気すらしてくる。

 あらかじめ再度お断りしておくと、私はFF14のベータテスターであり、FF14ベータバージョンの細部について公開することはテスターとしての規約に反する行為である。なのでベータテストで体験したゲーム内容の良し悪しについて述べるつもりはない。

 第一、ゲーム内容が面白いか面白くないかというのはゲームをプレイして初めてわかることだ。ゲームをプレイするスタートラインにすら立てなければ、面白いとか面白くないという評価すら下すことはできない。


 何の話か? マシンの動作スペックの話である。


 FF14のプロデューサーは、恐らくFF11での成功体験を元にFF14の動作スペック(数年後にエントリークラスになるモデルを基準にすること)を決めたのだと思うが、今は必ずしもFF11が発売された時と同じ状況ではない。
 特に痛いのが(あまり騒がれていないのが意外だが)PS3でのサービス開始が遅れることだ。以前FF11のイベントで、開発陣自身が「FF11プレイヤーの半数はPS2でプレイしている」と述べていたはずなのに。
 現状、FF14を発売日に遊ぼうと思えば最低10万、普通に考えれば20万円以上は出費するハメになるだろう。しかも、FF11同様にアカウントハッキングの危険性があることや、FF14を動作させるのに必要なマシンパワーの高さを考えれば、FF14用PCはそれ専用のPCとなる可能性が高い。つまり、20万円はほぼ「ゲーム1本」のためだけに出費しなければならないことになる。
 今のご時世、ソフト1本に20万円出せる人がどれだけいるだろうか。

 ちなみに私の場合、手持ちのマシン……1年半前のことになるとはいえ、ゲーミングPCとして買ったPCが、既にFF14ではほとんど役に立たなかった。公式のベンチマークで動作可能なレベルの半分しかスコアが出ないのだ。
 なんとかグラフィックボードの入れ替えだけで、ベンチマークスコアとしてはローモードでギリギリ動作するレベルまで持っていったものの、電源が足りないため部分的な改装で対応するのはこれが限界だ。これ以上はマシンを一から組み直すしかない。

 FF11がPC版のハードルが高くてもなんとかなったのはコンシューマ版があったからだ。PCが買えない人はPS2でやってくださいと言えたから、PC版のハードルを上げることができたのだ。FF14の場合、プレイ可能なPCを買えない人は「プレイ不可能」で終了である。
 実際、FF11をプレイしている私の周りの人間に聞いても、発売日当日にFF14を買うと表明しているのは、三十数名中片手の指で数えるほどしかいない。その中にベータテストに当たった人が数名いるにも関わらず、マシン環境的な理由からか、ログインしているのは私だけだ。
 もちろん、私の友人関係などという狭い範囲では統計的にまったく無意味だが、スクウェアエニックス自身がFF11をプレイしている人間にFF14をプレイするかどうか/プレイ可能な環境にあるか、というアンケートを取ったことはないはずだ(アルファテスターの募集はしたが)。

 MMORPGが続くかどうかの第一要素は、必ずしもゲームとしての面白さにはないと私は思っている。このゲームのここがつまらない、あそこがバランスが悪いと愚痴っている人間は、やめない限りそのゲームの顧客であり続ける。ゲームバランスなどは後で修正が効く場面もあるはずだ。そうではなく、そのゲーム内に仲間がいるかどうか、コミュニティが築けるかどうかこそが一番大きな問題だ。
 プレイするのに必要なハードルの高さは、プレイヤー人口の多寡、ゲーム内コミュニティの作りやすさに直結する。


FF11やってたし、14やってみようか。でもPC新調しないと動かないな。じゃあ様子を見よう」


 ↓


「あれ? 思ったよりやってる人少ないみたいだ」


 ↓

「やーめた」


 これが14にとって一番悪い、負のスパイラルだろう。