まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 1 【完全生産限定版】 [DVD]


 言いたいことは色々あるけど、もういろんな人に話したので簡潔に。

 噂の第3話の段階では、私の評価は最低に近く「うめてんてーの絵でグロ展開して話題集めなんてあざとい!」というのが正直な感想だった。でもその後さやかにまつわるエピソードでだんだん面白くなってきて、8話のラストで評価が反転。10話で虚淵氏に土下座、という感じ。
 ループものは決して目新しいものではないし、さやかがああなることについても別に意外ではなかった(伏線はちゃんと張られていたし予想もされていた)。ストーリーは王道だけど、演出が見事。まさに「見せ方がうまい、ただそれだけ。それだけだがすごい」というどこかの誰かの言葉がしっくりくる。
 気をてらった展開はハマれば面白いが、あまりにトリッキーすぎると登場人物に感情移入できなかったり、視聴者がおいてきぼりにされたりもする。まどか☆マギカにはそれはなかった。

 エヴァを越えたの越えないのとかいう話もどこかで見かけたが、今のところ私のまどか☆マギカに対する評価は、エヴァより上。理由は一つ、ちゃんと完結させたからだ。
 エヴァだって完結してるよ、という人もいると思うけれど、私には理解できなかった。というより、制作者から「視聴者に理解させよう」という姿勢を感じなかった。私は監督の内面世界を見るためにわざわざ劇場まで足を運んだわけではない。そういう意味では今展開中の新劇場版や貞本エヴァこそまさに当時の私が見たかったものなのかもしれないが、こちらも完結するまで評価はできない。

 前に森博嗣氏のエントリでも書いたとおり、話題を呼ぶために、わざと作品を未完成にしたり、バッドエンドにしたりするのは私は嫌いだ。そういう作品を私は評価しない。アニメ版ファントムの時に虚淵氏をボコボコに言ったのはそのせいだ(ゲーム版で生存している主人公二人が唐突に死ぬから)。ちゃんと伏線を消化し、視聴者や読者の疑問を解決し、作品を完結させてこそ評価に値すると思う。
 まどか☆マギカは原作のないオリジナル作品でありながら、展開も破綻せずちゃんと物語が完結した。それだけで、ただその一点だけで作品の出来としては十分すぎる。

 しかし、私が最も評価するその一点ゆえに、恐らくまどか☆マギカは話題性でエヴァを越えられないだろう。綺麗に完結してしまったからだ。だが、それでいいのだ。娯楽作品は楽しむために存在する。後に何かを残してもいいが、それが目的となってしまっては本末転倒だ。

 願わくばこれをきっかけに「王道でも魅せ方が非常に上手い」という作品が増えてくれるといいのだけど……。


 まどか☆マギカ以外の話題については、長くなるのでまた改めて。