ヴァーサス

 前にちょっと紹介した超NovelM@ster企画。これよく読むと結構縛りきついんだね。登場人物を縛るのや動画の長さの制限はアテレコの関係で仕方ないとしても「二次創作絵以外使用禁止」って……。ゲーム中の立ち絵利用するのは何でダメなんだろう。著作権的にはバンナムさえ認めれば問題なさそうなんだけど。



 わざと間違えるっていうのも難易度低くはなさそうだが、どう見てもはらみーいじめ動画としか思えない(笑)。

 ところで、コメントでも突っ込んでいる人がいるが、貴音が披露している早口言葉のいくつかは、機動警察パトレイバー新OVA版の「VS(ヴァーサス)」というエピソードに登場する早口言葉である。

 機動警察パトレイバーで早口言葉? と思うかもしれない。この「VS」はTV版がビデオ化されたときに追加された新エピソード、通称「新OVAシリーズ」の一話で、OVAブームののはしりだった旧OVA版などに比べると今ひとつ陰が薄いが、新旧パトレイバーをファン必見のエピソードである。
 なんと、それまで「イングラム二号機指揮車担当は、コミック版は熊耳武緒、OVA版は香貫花クランシー。TV版は香貫花から交代して熊耳」*1と、同時登場することのなかった二人が共演するというストーリーなのだ。パトレイバーを知らない人にはわかりにくいかもしれないが、エルピー・プルフォウ・ムラサメが一緒にショッピングに出かけるようなものだろうか?

 しかし、この二人は最初から仲良くする要素がまるでない。
 まず、TV版のグリフォン編のみの追加シーン(原作のコミック版にはないシーン)で、負傷して入院している熊耳を香貫花が見舞う。かけた言葉がこれだ。

「仇は取ってあげるわ」

 そしてそれに対する返答がこれ。

「リチャード・王を仇と思ったことはありません」

 ……事前にこんなやり取りを踏まえた上での「VS」である。

 エピソードを軽く紹介すると、こんな感じだ。
 グリフォン撃破の労をねぎらい、小旅行に出かけることになった第二小隊の面々。本来の第二小隊のメンバーの他に、負傷した熊耳の交代要員として貢献した香貫花を加え、旅館に泊まって宴会を始めるが……。
 二人の性格を考えれば想像どおりの展開、つまり「熊耳が一応友好的に接しようとするが応じない香貫花」という図式がしばらく続き、香貫花がまず爆発する。

 太田が熊耳に酒を注ごうとし、形だけ遠慮する熊耳。押し問答の末、聞いていた香貫花がブチぎれる。
「飲みたくないと言ってるんだから飲ませることないでしょ!」
 絶妙なタイミングで熊耳が
「注いで?」
 と催促。熊耳を睨みつける香貫花。太田が「いやしかし……」と言いかけるが結局震えながら酒を注ぐことに。

 もっとも、民間企業で複雑な人間経験を既に体験して転職してきた進士は早々に「この二人は合わない」と察知しており、他のメンバーに警告している。皆「考えすぎじゃないの?」といなしていたものの、これで二人が「水と油」であることをはっきりと認識する。
 が、二人は周りの思惑をよそに、酒の勢いも付き合って暴走を始める。最初こそ仕事に関係にある話、適切な現場指揮に必要なものの話をしていたはずなのだが、そこに天正遣欧少年使節団の話を持ち出した辺りから方向がおかしくなり、最後には「相手に勝てさえすればネタはなんでもいい」とばかりに対決を始める……。

 実は、早口言葉はここで出てくる。もちろん中の人はプロ(しかも当時でも大御所!)であるから一切噛むことはない(笑)。
 一般的な「赤巻紙青巻紙黄巻紙」とか「東京特許許可局」とか普通の早口言葉のなかに突然外郎売の「武具馬具武具馬具三武具馬具〜」が繋がるので、よく聞き取れなかった人もいたようだ。


 この話は、私にとってはパトレイバーのエピソードのなかでもかなり上位に位置する話である。TV版第一期で第二小隊が飲み会に繰り出し隠された本音の暴露大会になってしまう「あんたが一番!」も結構好きだった。
 ……もっともヴァーサスを見た当時はまだ学生で実感の沸かない話だったが、まさに先週、これと同じような体験を幹事の立場でまざまざと見せられた今となっては、進士の気持ちが良くわかる……わかりたくはなかったが(笑)。

 

*1:ずっと後になって、香貫花はレイバーとは関係ないロス市警の刑事としてコミック版に登場するが。