イメージと違うというけれど

実写版「魔女の宅急便」小芝風花演じるキキ、初お披露目!


 正直言って、ビブリア古書堂の栞子さんの時はかなり憤懣やるかたなかったけど、この作品についてはそうでもない。個人的にはむしろ、実写化に反対している人の何割がちゃんと原作を読んでいるのかの方に非常に興味がある。
 というのも、私も原作を先に知ったわけではないのだけれど、アニメ映画を見てから原作を読んだら「何これ全然違うじゃん!?」という印象だったからだ。「あたしこのパイ嫌いなのよね」の女の子も出てこないし、飛行船の事故ももちろんない。ストーリーはキキとトンボが仲良くなって結婚して子供まで生まれるところまで続く。で、あの有名な「ジジはキキの脳内にしかいない」というジブリ広報のコメントも、原作には欠片も出てこない要素である。Wikipediaによれば、あまりにも内容を変えすぎて原作者が怒ったが和解したとある(和解したというのももあくまでも宮崎監督側の資料による)。
 つまり、アニメ映画版自体が相当原作を無視して作られているのだ。これは宮崎監督としては魔女の宅急便が初めての話ではなく、風の谷のナウシカギリシャ神話のナウシカとまったく関係ないし、ラピュタガリバーとは関係ない。これは息子だが、ゲド戦記も原作を無視しすぎて原作者本人からコメントが出されるほどだ。

 だから、ジブリ映画としての魔女の宅急便が好きな人が実写化に対して「イメージと違う!」と言っているのを見ると「いや、それ以前にアニメが原作と全然違うんだけど……」と言いたくなるのだ。