アニメ版「けいおん!!」最終回の話。
唯たち3年生の卒業式が(正式なストーリーとしては)最後のエピソードとなる。これは先日終了したマンガ版も同じだ。
しかし、果たして「卒業」したのは3年生の4人なのか?
3年生メンバーの4人は同じ大学に進むことになっている。澪などはわざわざ進路を変えてまでそうしている。同じ大学に進みながら音楽をいきなりやめるというのは考えづらいから、今後も音楽活動は続けていくのだろう。
ということは、唯、律、澪、紬の4人は、卒業しても今までとあまり状況は変わらない。梓だけが、卒業によって4人の先輩を失うことになる。もちろん卒業して4人の後を追うという可能性もあるけれど、少なくとも「もっとすごい軽音部にしてみせます」という意思表示をしたということは、梓の頭の中には卒業後の考えは今のところないのではないだろうか。
今回の卒業で「別れ」を経験するのは梓であり、視聴者だ。だからけいおんは第二期になってから、たびたび梓視点のエピソードを描いてきたのだろう。それはこの最終話で視聴者がすんなり梓に感情移入できるようにするためだと思う。
見方を変えれば、けいおん第二期は4人だった軽音部に梓が招かれ(入部したのは一期だけど)、4人を見送るまでの物語である、とも言える。そのために京アニは、第二期で意図的に4人と視聴者の間に距離を取り、その間に梓を置く演出をしている。主人公が唯から梓に代わっている、といってもいい。
けいおんの4人は、これからもずっと変わらないよ。
だけどみんなとは、これでバイバイ。
そういうことだと思う。
いずれにしても、素晴らしい時間を過ごさせてもらった。次週が楽しみで仕方ないアニメは、実に実に久しぶりだった。
原作者、アニメスタッフの皆さん、お疲れ様でした。