光の道は輝いているか?


 ここ数日実家に戻っていたためブログの更新が遅れてしまいました。もし楽しみにされていたというとても奇特な方がいらっしゃったとしたら、誠に申し訳ございません。
 
 さて、今回実家に戻ったのは、2/21の日記に書いた危惧がまさに現実となったからである。光回線の工事が終わった途端ネットが通じなくなったと言われ、私自身もいろいろ情報を集めていた。
 で、ネットを開通するまでにほぼ丸一日バタバタしてみての感想。


 PCの基礎知識すらない世帯向けに光回線の営業行為をするのは、ほとんど犯罪的な行為だと思う。


 まず、21日の段階で実家近くの量販店でPCを購入。この時家人が割引の誘惑に負けて光回線への移行を決意した。私は「何を言われても絶対プロバイダは変えない方がいい」とアドバイスした。自分でやるならともかくとして、プロバイダ変更に伴う数々の手続きが煩雑で複雑だからだ。
 すると予想通り新興接続業者の営業がやってきて「メールアドレスはそのままでプロバイダは変えられますよ」と言ってきた。そういう問題ではない。2つの業者から料金請求が来たら家人はますます混乱する。しきりに安さを強調してくるが、安さじゃなくてわかりやすさの問題だ。
 現行プロバイダの担当を呼ぶと、光回線の案内を一通りしてくれた。私が「メールアドレスも接続IDもパスワードも変わらないのですか?」と聞くとその担当者は「今のままで接続できますよ」という。
 それなら今のADSLモデムを光回線用のモデムと付け替えるだけでいいからいいか……と簡単に考えたのが、どうやら間違いの元だったようだ。


 今回、回線工事の終わった実家に戻り一通り機材をチェックすると、機械的な故障はこの時点ではないように見えた。接続テストそのものは成功する。ただ、接続IDとパスワードを入力する画面で弾かれる。無線を有線に切り替えてもダメ、無線ルータを外して光モデムに直付けしてもダメ。
 なんとなく嫌な予感がして家人に確認する。
「郵便で何か送られてこなかった?」送られてきたものはあるが、導入用のディスクとその使い方だけでIDやパスワードは入っていなかったらしい。
 しかし、プロバイダのHPなどあれこれ調べたところによると、前のIDは変更前のフレッツADSL専用のもので、プランを変えたら変わるように読める。手続きの際には「今のままで接続できる」という以上の説明が何もなかったが、機械的な故障なら認証画面まで進めるのはおかしい気がした。
 既にHPの閲覧もメールの受信も不可能な状態だから、もし接続IDやパスワードが変更されていたとしてもオンラインで確認することは不可能だ。


 結局翌日になってからプロバイダのコールセンターに電話するとやはり
「IDと認証パスワードは変更された。変更後のIDとパスは工事前にメールで送った」とのこと。
 それだったら手続きの段階で「新しいIDとパスワードがメールで送られてくるから工事前に受信しておくように」と言っておいてほしかった……。工事が終わってしまってるから既にその方法で確認することはできないし、もちろん電話でIDやパスを教えてくれるはずもない。認証そのものが弾かれるようではこれ以上先の接続設定も無線への移行も当然できない。認証IDやパスワードは郵送で送られてくるものだと思っていたが、どうやらメールの開封確認が取れなかった段階で初めて発送するらしく「現在手続き中」なのだそうだ。
 電話口で途方に暮れているのがわかったのか、携帯電話で確認する方法を教えてもらえたのでなんとか事なきを得た。しかしこれ、携帯電話でウェブを見る方法がわからない人には実行不可能だ……。


 認証IDとパスワードが通っても、まだ第一関門突破にすぎなかった。
 今度は光回線モデムは認識するのだが、無線の親機を繋ぐと通信できなくなる。無線ではなく有線で、だ。無線の設定はまず親機と有線で繋いでからブラウザで行うタイプだったので、有線で繋いで反応がないようだと設定ができない。
 いろいろ試した結果「アクティブランプとリンクランプが点灯しているにも関わらず、ケーブルの一本が接触不良もしくは断線しているのではないか」ということがわかった。ケーブルを入れ替えると正常動作するのでそれしか考えられないのだ(まさか今時ストレート/クロスケーブルの取り違えということはないだろうし……)。
 事前に用意した覚えのないLANケーブルだったので家人に聞くと「工事業者が持ってきた気がする」という。うーん……。
 

 無事有線での接続が終わっても、ここからが本番だった。最大の問題は、インターネット接続の設定方法が機器ごとにバラバラに書かれていることだ。ウィンドウズ7の標準の設定方法がもちろんあり、その他にノートPCのマニュアルと導入ディスクを使う方法、光回線モデムに添付されている導入ディスクを使う方法、プロバイダから送られてきた導入ディスクを使う方法、無線LANルータに付属してきた導入ディスクを使う方法がある。
 これらほぼすべてにそれぞれの周辺機器等の設定を行う部分と、インターネット共通の通信設定を行う部分が含まれているのだが、中に「既に設定してある通信設定をリセットして再設定をかける」ものがあり、設定が巻き戻ってしまう。
 特にプロバイダから送られてきた導入ディスクは簡易設定しか用意されておらず、これの手順に従うと、せっかく設定した周辺機器が認識されなくなるなど非常に悩まされた。
 これが恐らく工事後に新しいマシンを使う環境であればまだマシだったのだろうけれども、今回は一端ADSL用に構築した無線LANの環境を白紙に戻して再構築という状況だったのでこういう事態が起こったようだ。


 我ながら知識不足と事前の準備不足を痛感しつつ、なんとか無線環境を整えられたのだが……これをPCの知識がない人にやれというのは酷すぎる。私自身そんなに詳しいわけではないけれど……例えば家人だけで同じことをやれといわれてもまず不可能だろう。
 設定サービスを頼めばいいじゃないかといえばそのとおりなのだが、今回PCを買った量販店からははっきりと「無線LANに関するトラブルの場合、トラブルが発生した機材を持ち込まれても対応できかねます」と事前に宣告されていた。設定サービスの料金コースが用意されているにも関わらずだ。
 その店員が申し訳なさそうにいうには、無線LANのトラブルの場合、持ち込まれてもその機材が原因でない場合が多く、そういう場合は店で症状が再現できずもちろん直すこともできないのでサービスの対象外となる、とのことだ。
 これは仕方ないと思う。今回だって例えば「無線LANが繋がらないから」といってノートPCだけ店に持ってこられても設定するのは不可能だろうから。


 問題は、光回線への移行は通信サービス会社への申込、工事業者の訪問、プロバイダへの契約内容の変更などいくつもの事業者が関わる複雑な手続きであり、さらにその先の周辺機器等の設定もそれなりの知識がなければ困難であるにも関わらず、説明を十分にしないままサービスのメリットだけを強調して、割引を餌に半ば無理やり契約を迫るやり方にあると思う。
 実は今回光回線への移行にはサポートとウィルス対策のサービスがセットになっており、家人はサポートダイヤルに連絡してサポートを受けたようなのだけれど、数時間話してもまったく埒があかなかったのだそうだ。というか、もしそのサービスで接続IDとパスワードが変更されている可能性にまったく言及しなかったとすれば、月額500円も払う価値があるのかにはいささか疑問がある(言われたけど忘れてるということもありうるが)。私は不要だからそのサービスは解約しろと勧めたのだが、1ヶ月は無料サービスということで解約不可能らしい。


 いろいろ調べたところ、こういうトラブルは私の実家だけでなくあちこちで、それも頻繁に起きているらしい。むべなるかな。