偵察任務はありか? なしか?(後編)

 さて、前回語りきれなかった部分について話す前に、私なりの結論を述べておく。


「TRPGにおいて偵察を主たる目的とするシナリオは、
 “偵察”が敵に発見されること及び敵との交戦を特に禁じることのない、威力偵察を指すのであればもちろんあり。
 もし敵に発見されること、敵との交戦を一切禁じる隠密偵察を意味するのであれば、シナリオの主目的に据えるのは適さない。
 シナリオの序盤や中盤に短くシーンとして差し挟むくらいであればなしとまでは言えない」


 と私は考える。
 ちなみに、私自身は今までずっとTRPGをプレイしてきて、GMとして隠密偵察を主目的とするシナリオを組んだことは一度もない。
 その理由を挙げるとすると、前編でも述べたとおり「敵から発見されること、あるいは敵との交戦そのものを依頼段階で禁じる合理的な理由を考えつかなかったから」ということになるだろう。
 また、TRPGのシステムはごく一部の例外(小さな魔女エディスのような)を除くと、最終的な解決手段に戦闘を置き、戦闘時において一番適切なキャラクターの能力ごとに役割分担がなされた活躍ができるように組まれている。あえて戦闘を外してシナリオを組むとプレイヤーがカタルシスを得にくい(得られないとまではいわないが)、ということもその理由の一つである。
 逆にいえば、もしPC全員が隠密行動することを前提とし、偵察任務においてキャラクター間の適切な役割分担がなされるTRPGのシステムというものがこの世に存在するのであれば、もちろん隠密偵察を主目的とするシナリオを組んでも構わないと思う。