NPCが100人!?

ソード・ワールド2.0ツアー(2)  リオス


 ロール&ロールでも宣伝されていたこの本が、書店に並んでいた。帯には大きく「NPCが100人掲載!」と書かれている。興味をそそられたので、思わず手に取ってみた。


 NPC100人って……33ページから42ページの10ページで100人掲載してるのか……。


 もちろん、NPCの中には1ページの1/6くらいのスペースをとってイラストつきで解説されている人物もいるのだが、多くは説明文しかない。例えばこんな感じだ。


 元議員。選挙で落選ししばらく放心していたが、最近また熱心に演説会を開くようになった。


 え……? これだけの記述からシナリオ作るの……?
 そして一番の問題は、1ページの1/6のスペースを取っているNPCですら、ゲームデータとして掲載されているのが種族くらいしかないこと。せめてクラスとレベルが書かれていればまだイメージもわくのだが……。

NPCに必要なデータとは?


 不要なデータまで設定する必要はないが、必要なデータは設定されていないとゲームに使えない。例えばトーキョーN◎VA・Dの場合、主要なNPCについてはスタイルから能力値まで設定がされている。というのも、コネクションの判定をするために相手の制御値を目標値として判定をしなければならない場合があるため、データがないと自作する羽目になるのだ。


 自作するのが面倒だから──というわけでは必ずしもない。かつては、GMがデータを作るのが当たり前で、ルールブックにはデータが用意されていないことはざらにあった。もちろん時間をかければデータを用意することは可能だし、もっと熟練したGMならアドリブでそれっぽいデータをでっち上げることも不可能ではないはずだ。
 問題はそれがまったく共有されないことにある。本来、NPCなどのデータについては「ルールブックにこう記載されているから」と説明するのが一番説得力がある。

エンドレスサマー


エンゼルギア 天使大戦TRPG The 2nd Edition サプリメント エンドレスサマー (ログインテーブルトークRPGシリーズ)


 ちなみに、以前ご紹介したエンゼルギア2のサプリメントエンドレスサマー」は、紹介されているNPCは全部で52人と人数はリオスの半分だが、その全員、ギアドライバーから駄菓子屋の店主に至るまでダーザイン──ゲームデータの一つで、PCがその人物に対してコネクションを取得すると態度がどう変わるかを現す──がレベルごとに書かれており、またそのNPCが誰に対してどんなダーザインを持っているか──つまりNPC同士の人間関係──が書かれている。
 さらに、そのうち13人はギアナビゲーターとして設定することが可能であるため、シナリオソースとなる設定も解説として付け加えられている。ページとしては、一人あたり半ページから2ページに渡る(全員イラストつき)。


 もちろん、ページ数が多ければいいというものではない。エンゼルギア2は人間関係が肝となるゲームだ。だからここまで詳細に書く必要がある。
 エンゼルギア2においては駄菓子屋の店主ですらも「ただの駄菓子屋の店主」ではない。何の特殊能力も持っていなくても、平凡な一般人に過ぎなくとも、それはPCを「人間」の側に引き止め、戦う理由となる大切な存在だ。だからこそページが割かれている。
 逆に、52人のNPCには戦闘用のデータはない。エンゼルギア2において戦うのはPCの役目であって、NPCは「エキストラ」として処理されるため、判定の必要がない。だから能力値などのデータはなくてもいいのだ。