どちらもデデデに一票



 キャラ人気部門でも動画人気部門でも、1位を取れず2位に甘んじてるのが「いかにもデデデ」という感じで面白い。もし私が投票するとしたら、どちらもデデデに投じるだろう。
 ドグラさん自身も言っているが、「最強キャラ」ではなくて「クソキャラ」っていう定義でいうと、やはり単に「強い」というよりは、「上位のキャラには勝てないが、環境を破壊するキャラ」っていうのは納得感がある。
 そして、この動画シリーズの面白さ自体も、実はそこがポイントだと思っている。「格闘ゲーム史上で一番強いキャラは誰?」というと結構論議が割れるし、ネタじゃなくなる部分が多くなりそうだが、この動画シリーズは強キャラじゃなく、クソキャラというところに焦点を当てているところが肝なのだ。ただ、昔ニコニコの格闘ゲーム動画を見漁っていた頃、毛利やお市の戦国ブーメランには何度も笑わせてもらったので、毛利が1位になるのもよくわかる。
 あと異なる視点で私が面白い動画部門上位に挙げたいのは、ネモさんのロレントの動画だ。これは格闘ゲーム自体というより、それを巡る格闘ゲーマー同士の人間模様が垣間見えるところが非常に面白い。

はいはいネットが悪いネットが悪い

dot.asahi.com


 久しぶりにツッコミどころが多い記事を見たなーという感じ。こういう機会にネットを槍玉に挙げてやろうという意図が非常に分かりやすい。


 まず主語を「ネット民」という言葉にしているところが、「事情に詳しくないです」と告白してるに等しいと思う。一応、Wikipediaには「ネット民」という言葉の定義はあるものの、それは「インターネットをメインで使う人たち」程度の意味しかない。記事内でも定義を明確にしないまま、「いわゆるネット民」と述べるのみでこの言葉を使っている。
 私自身は今回流出した情報には全く興味はないし、わざわざ危険を冒して崖っぷちを覗きに行きたくないので、どういった人間が今回の情報を拡散しているか、いやそもそも拡散されているのかどうかも調べていないが、もし情報の出元がはっきりしていて、記事でいう「祭り」が起きているなら、例えば5chan民だとかX民だとかなんJ民だとか、その発信源ははっきり特定できるはず。なのにそれをせず「インターネット全体が悪い」みたいな論調になるところが、なんだかなー、という印象だ。
 執筆者がどう認識しているか知らないが「インターネットを活動の中心にしている人達」っていうのは、今や主流だ。10年前や20年前とはわけが違う。若い人たちはテレビも見ないし、新聞はもちろん読まないし、動画はYouTubeで見る。私の父の世代ですら、もはやテレビは見ずに動画ばかり見ている人も珍しくない。つまりWikipediaでいうところの「ネット民」という言葉の定義には、ネットユーザーの大半が当たってしまう(そうでないというなら記事内で定義を明確にすべきだ)。そしてもちろん、そういった人間の大半は今回の情報拡散には無関係だ。つまり「ネット民が悪い」というのは「10代から20代、もしくは30代から60代が悪い」と言っているのと同じで、実質的な中身がない。


 もう一つマズいと思ったのは、角川の関係者が「自分たちの情報が流出していて怖いです」というコメントを出していること。角川は今回ハッカーにやられた被害者ではあるが、同時に情報を流出させたという点では顧客に対して損害を与えた立場である。事情を説明して謝罪しなければならない立場にあるにも関わらず、あたかも「自分たちには落ち度はなく、(ハッカーではなく)不特定多数の人間に一方的に被害を与えられた立場である」かのようにコメントするのは、非常に違和感が強い。そもそもあなたの会社が情報を流出させたのがすべての発端のはずだ。


 さらに「犯人は外国人なんだから、ネット民が騒がなければ情報の価値は分からなかったはず」というのも、ハッキングに対する認識が甘い。今の機械翻訳は非常に優秀だし、機械に頼らずとも犯人グループが日本人の協力者を一人抱き込んでしまえば、情報の価値なんてあっという間に知れる。だからこそ世界中のセキュリティ担当者はランサムウェア被害の抑止に躍起になっているのだ。
 それに、もし「ネット民がいなかったら情報の価値は犯人に知り得なかった」という理屈が通るなら、同様に中央省庁や大企業へのハッキング被害も「マスコミが報道しなければその情報の価値は犯人には知り得ない」となってしまうが、その点はどう考えているのだろうか。


 まぁ、そもそもこの記事がネット記事であること自体に、大いなる矛盾を感じるわけだが……。