3Dが切り拓く未来は明るいか?

 なんとなく、昨日のエントリからちょっと続く話である。

 ヘッドマウントディスプレイ、というものがある。頭部に取りつけるタイプのディスプレイで、オリンパスのアイトレックやソニーのグラストロンなどの製品があった。
「メガネ型のディスプレイをかけると、目の前に大画面が!」というのが当時の宣伝文句で、一時期はこれらとDVDウォークマンがセットで電器店の1コーナーを形作っていたこともある。
 が、極めて近未来的なデザインの製品だったそれらは、ディスプレイの主流にはならなかった。なぜか。


“完全ワイヤレス”で、HMDはファッションになるか?


 私は当時、家庭用ゲーム機をプレイするための小型のディスプレイを探していて、HMD型ディスプレイも視野に入れ、よく電器店で使ってみたことがある。……しかし、結局買うことはなかった。当時のHMD型のディスプレイは、はっきりいって電器店の店頭で5分使ってみればすぐわかるほどの、大きな欠陥があったからだ。


 非常に目が疲れるのである。


 それはもう、ゲームどころか映画一本見るのが辛いレベル。5分でそれとわかるくらいだから、1時間も見続けていたら相当な疲労だったろう。
 当時、恐らく歩きながら音楽を聞けるウォークマンの延長線上としてHMD型ディスプレイが開発されたのだと思う(実際、歩きながら画面を見ることを想定した半透過型のものもあった)が、ほとんど普及しなかった理由はこれ以外に考えられない。現に、その後広まった携帯電話や携帯用ゲーム機にもHMD型のディスプレイを搭載したものはない。


 で、3Dの話になるのだけど。


 私は業界関係者ではないので、もちろんニンテンドー3DSは触ったことがない。しかし、ソニーが推奨しようとしている3Dメガネを使用した3Dゲーム画像、これが今家電売り場にある3Dテレビと同じ仕組みであるとすると、非常に目が疲れる気がする。「アヴァター」は劇場では観ていないのだが、こんなに疲れるものだったのだろうか?


「クロスブレイブ」アナグリフ方式を利用した3D立体視の実装を発表。


 これはさすがに古い方式の3Dだけど、いくらなんでも5分は酷すぎる。
 もちろん、ニンテンドー3DSはこれより遥かに目への負担が軽いシステムなのだろうが、でも年齢制限をつけたということは、普通の2D画像よりは目に負担がかかるはずだ。
 Wiiや今のDSなどをみてみると、任天堂自身は3Dを生かした、ニンテンドー3DSならではのソフトを販売してくると思うが、サードパーティ製のソフトで(意味もなくタッチペンを使わせるDSソフトのように)3Dの特性を理解せずひたすら目に負担のかかる3D画像をこれでもかと満載したソフトばかりが並ぶという事態はごめんこうむりたい。

 3D技術は、それを使えばどんなソフトでも面白くなるという魔法の調味料ではないはずだから。