沈黙こそ雄弁に語る


 しかし……である。この呟きがバンナム公認のものだとして、なんら新しい情報が含まれていないとは限らない。時として、何かを隠そうと語れば語るほど、影の部分がくっきりと浮かび上がる。
 以前ニコマスでご紹介したとおり、既存ユーザーが問題にしているのは男性アイドルジュピターの存在よりも、プロデュース不可能となった竜宮小町の4人のアイドルの方である。これくらいのことは、ユーザーコミュニティをちょっと突っ込んで調べればすぐに分かることだ。何しろニコマスの動画作成者がアンケートを取っただけで分かる事実なのだ。バンナムの担当者がよほどの無能でない限り、その事実を掴んでいないとは思えない。


 言い換えれば、ジュピターについてはこれだけ語れても、あの幕張のイベントでファンを絶句させた竜宮小町4人のプロデュース不可については、語れることが何一つないということだ。


 意図的かどうかは断言できないが、バンナムはずいぶん前から「アイドルマスター2がもし失敗したら、その理由は男性アイドルユニット『ジュピター』がファンに受け入れられなかったからだ」という結論を導くための、印象操作に近いことをしている。このツイッターの発言もそれに沿っており、ハード間の争いを煽っている匿名の人々がその状況に拍車を掛けている(ある意味で彼らはバンナムの思い通りに動かされている)。
 だが、ジュピターの存在を完全に抜きにして考えるとどうか。アイドルマスター2は前作に比べ「プロデュース可能なアイドルの数が減少し」「オンライン対戦が不可能になり」「ソロ、デュオユニットが削除された」という、続編でありながらグラフィックを除くゲーム面で「ほぼグレードダウンしかしていない」驚くべき作品である。これで売り上げが増加するとはとても思えない。ジュピターの存在はいわばスケープゴートなのだ。


 時として、語らないことは百の言葉より雄弁に物を語る。語れば語るほど、本当に隠したいことが何なのか、本当の問題点はどこにあるのかがわかってしまう。
 何が起こるかなんて分かってる、と呟いた人は、本当に「分かってる」のだろうか?