“月夜姫”(Der Monde Madchen)メルフィナ・メルクリウス

     コロナ(支配者)/アングルス(無垢なる人)/フルキフェル(亜人

 河人族(ザルム)の姫君。ザルムというのは簡単にいうと知性を持ったシャケである。スマラクトと呼ばれる魔法の宝玉を口に含むと幻影の魔法で人間そっくりに変身できる能力を持つ。特殊技能で“童顔”を持っていたので外見は若く(幼く?)見える。
 ダイスを振ったらシナリオに登場するNPCに対して「慕情」となったので、リトルマーメイドのアリエルよろしく「人間男性との仲を認めてくれないなんてお父様のバカ! わからず屋! あんぽんたん!」と叫んでザルムの国を飛び出した娘という設定になったがあんぽんたんは自分の方でした、みたいな。
 なんとその「慕情」の相手がキャンペーンのラスボス級(ドラクエ2でいうハーゴン)だったので、結局袂を分かち戦う羽目になり、魔法で双方が石になって60年が経過した──と、ここまでがキャンペーン開始直前の状況。なにしろ正体はシャケなので、戦いの舞台となった村にはなぜか60年間シャケの石像が飾られていたことに(村人はなぜ自分の村にシャケなんかの石像があるのかは誰も知らない)。
 オープニングで石化が解け、びちびちと地面を跳ねつつ近くの川にドボーン。

 ……などとコミカルなシーンを演出したりもしたのだけど、キャンペーンのラスボスに慕情っていう時点で死亡フラグってレベルじゃねーぞ。その後挿入される回想シーンでも「昔のあの人はいい人でした」ばりのいいシーンばかり演出されてギニャーという気分に。

 また、このキャスト(通称メル)はコンボが香ばしかった。<交渉><注目><河の乙女><運命の少女><童顔>という組み合わせで「自分より行動速度が遅い相手一人を金縛りにする」というコンボなのだが、大勢の敵と戦うシチュエーションに乏しいこのゲームで殺戮者を金縛りにされるとすごく寒いことになる。かといって通常の攻撃能力は持たないという非常に困ったキャストである。恐らくこのページを見ているであろうその時のGMさんにはこの場を借りてお詫びしたい。
 さらに、上記のコンボが成立するには、相手が「人間の男性である」という条件が必要だ(コンボの中核となる「河の乙女」が人間男性にしか効果がない特技なので)。そのため敵と見るや「人間ですか? 男ですか?」と相手に詰め寄るというひどいキャストでもあった。

 結論を言えば──このキャンペーンは「暗天節」という、ランドオブギルティ掲載の公式キャンペーンなので、シナリオの詳細をご存知の方もいるかと思う。メルは最後からひとつ前のシナリオで尊厳値が限界を超え、殺戮者となった。

(以下ネタバレ)













 データ的にいうと、さっきのコンボは効果が香ばしいだけあって反動が厳しく、毎シナリオガリガリと尊厳値を削られていた。殺戮者が倒され聖痕が解放されると尊厳値がある程度回復するため、毎回それでもっていたようなものだ。それが、問題のシナリオは2名の殺戮者と連戦するシナリオである上に、次のシナリオに登場する魔神が吸収してしまうため聖痕の解放がなく、また戦闘バランスもタイトだった。それまでは数ラウンドで決着がつくことが多かったのが、戦闘自体がかなり長引いた。さらに敵がいくつもの奇跡を乱発してきたため、尊厳値の減少が起こる「束縛」の回数が多く、尊厳値をブラスに維持しておくことができなかったのだ。
 シナリオ的にいえば、尊厳値がマイナスとなった戦闘はまさに慕情の対象となる殺戮者との戦闘の真っ最中であり、相手との因縁を忘却することも変化させることもできないまま殺戮者となったので、恐らくは戦いの最中に相手の思想に共鳴し、想い人の遺志を受け継いで魔神の使徒になったのではないかと推察される。


 何しろ殺戮者二人分の聖痕をため込んでいるため、彼女を倒すシナリオを組もうかと提案したら、即座に却下された(笑)。