ただの人


 今回の目玉は大規模戦闘ルール、クエストルール、そして選帝候の指輪にまつわるキャンペーンだ。
 選帝候の指輪は、旧版のランド・オブ・ギルティからその存在が明かされていた、文字通りハイデルランド王を選ぶ者の資格の証として存在する指輪だ。実は設定そのものは旧版から変わっておらず、鳳の指輪はPCの誰かが持っており、雷の指輪は偽者であることが示唆されている。


(以下ネタバレ)











 昔からハイデルランドを知っている者にとって一番驚くべき事実は、今回のサプリメントでもっとも強力な諸侯の1人であるブレダ王ガイリングが「聖痕者でなくなった」ことだろう。誤解されがちだが、聖痕者でなくなることはエキストラであることを意味しないので、聖痕を持たないアルカナを保有したNPCとしてシナリオに登場することは有り得る(しかし付属シナリオではエキストラ扱いだ)。
 初版からPCたちの前に立ちはだかってきた、最も強大な敵の1人にして同盟者でもあったブレダ王ガイリング。彼は極めて強力な殺戮者の1人であることが示唆されていたにも関わらず、なんと「ただの人」になってしまった。しかも、PCの1人は彼の子供という設定になる。つまり次のブレダ王だ。
 また、今回のサプリメントは「旧版にあって新版で削除された特殊因果律の復活(「いのちのおくすり」など)」「魔剣カーネイジの設定追加(GF誌連載で明かされた設定のリファイン版)」「灰色公フェリックス・クリューガーの死にまつわる真相」と、旧来のユーザーにとっては驚天動地の設定が幾つも掲載されている。必見。