「何が始まるんです?」「第三次世界大戦だ」

「あっ……」 クリックミスが原因で大宇宙戦争に発展してしまった話



 開戦のきっかけがクリックミスだったと聞いて、どうして仲間は見捨てずわざわざ助けに行ったんだろうと最初思ったんだけど、動画に解説を入れてくれている人のお陰でようやく事情が飲み込めてきた。
 どうやらワープミスした戦艦は、それ自体が味方艦隊をワープさせるゲートの機能を持つ戦略的な大型──超大型戦艦だったらしく、それを助けて戦場を離脱させるための護衛艦隊が大量に投入 → 護衛艦隊を援護すべくワープミスしたのと同クラスの超大型戦艦が次々に敵勢力圏内のど真ん中にワープ → 超大型戦艦を阻止すべく対抗陣営の超大型戦艦が大量投入、という図式だったようだ。しかもこの超大型戦艦、数十人がかりで操作しているらしい(でも、ワープは一人でできるんだろうな……)。
 しかし、MMORPGで3000人のプレイヤーが一堂に会し、お互いが数年かけて作り上げた艦隊で死力を尽くした総力戦というのが凄い。何より面白いのが、これが運営が仕掛けたイベントではなく、プレイヤーによって偶発的に起きた事象だということだ。
 もちろんイベントも楽しくないわけではないんだけど、アクシデンタルな事象だとライブで参加している時の臨場感と現場の一体感が違う。私が経験したのはもちろんこれより遥かに規模の小さいものだけど、FF11で「サーバで初めてキングベヒーモスがPOPした時」の興奮は物凄かった。その場に集まったプレイヤーはどれくらいだったか……恐らく、多くても最終的に数百人くらいだったと思うが、あのお祭り感は半端じゃなかった。
 これはその規模を数十倍にしたものだと思うと、実際にゲームをプレイしていてしかもこの騒動に参加できた運のいいプレイヤーの興奮はいかばかりだったかと思う。何しろほとんど事情を知らない人間が画面をこうして眺めているだけでも「なんだかよくわからんけどすげーなー!」と感じるんだから。
 またどこかでそんな祭りに参加してみたいものだが、何よりこれだけの人数が参加しても破綻しないシステムを作り上げた、このゲームの運営陣に恐れいる。