すべてのRPGの元になった2本のゲーム『ウィザードリィ』『ウルティマ』
例によってこの記事もツイッターで激しく突っ込まれてるんだけど(笑)。「TRPGはボードゲームじゃない」っていう意見が多いかな。
D&Dの原型とされているゲームは個人級戦術シミュレーションゲームとでも呼ぶべき「チェインメイル」というミニチュア・ウォーゲームだ。この「チェインメイル」からD&Dを作り出したのが、あのゲイリー・ガイギャックスである。チェインメイルはミニチュアを使うゲームであり、広い意味でボードゲームだと言えなくもない。なので「D&Dはボードゲームから生まれた」という言い方ならあながち間違いではない(D&Dそのものをボードゲームと呼ぶことはまずないが)。
私がこの記事で気になったのはむしろ
「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は1974年に発売された世界初の(テーブルトーク)RPGです。テーブルトークというのは、数人が集まって会話をしながら進めるといった意味です。ダンジョンズ&ドラゴンズは画期的な製品でしたが、その愛好者はマニアックな存在でした。」
という部分の方。
これだと、まるでテーブルトークRPGって言葉がRPG発祥の地アメリカでも使われてるかのように読めてしまうけど、実は「テーブルトークロールプレイングゲーム」という言葉は完全な和製英語で、アメリカではこんな呼び方はしない。というのも、向こうでRPGといえば普通は日本でいうTRPGを指すので、わざわざ「テーブルトーク」なんていう冠詞をつける必要がなかったからだ。テーブルトークというのは、本来のRPGよりコンピュータを使ったRPGの方が有名になってしまった日本で、コンピュータを使わないRPGのことをあえて区別するために作り出された造語である。
それと、ダンジョンズ&ドラゴンズの愛好者がマニアックだったというのは完全な事実誤認だ。アメリカでは熱狂的なプレイヤーが失踪事件を起こして社会現象になったり、あの映画「E.T.」にD&Dで遊んでいるシーンが出てくるなど、ウィザードリィやウルティマの存在に関係なくRPGはメジャーな存在だった。プレイヤー数が多かったかどうかは別にして、今の日本におけるゲーマーやアニメファンや鉄道ファンと同じように、その存在そのものは広く知られていた。
まぁ、一番の疑問点は「マイナビウーマン」という媒体に「CRPGの原型はウィザードリィとウルティマです」という記事を掲載してどういう意味があるのかということの方だけど……(笑)。