これはツッコめってことだよね?

世界最古のRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の終わらない物語

ダンジョンズ&ドラゴンズにはルールシステムなどを改訂したさまざまなバージョンのものが存在するのですが、ウォードハウさんは30年以上前にゲットしたひとつのダンジョンズ&ドラゴンズをずっとプレイし続けてきたそうです。



 わざわざルールブックを構えて写真に写っている以上、この人はこのゲームで遊んでいるということなんだよね?
 これはD&Dを知らない人には無理もない誤解だし、どっちかというと記事のライターが悪いというより訳のわからない展開をしたかつてのTSR社が悪いが、表紙をよく見ればわかるとおり、これは厳密にいえばD&Dのルールブックではない。はっきりと「Advanced Dungeons & Dragons 2nd edition」の文字が見えるからだ。アドヴァンスドダンジョンズアンドドラゴンズは、ダンジョンズアンドドラゴンズの上級ルールや追加ルールではないし、製作者たちも単独の別々のゲームであると謳っていた。2ndエディションの頃は特に、エディションも別個に管理されていた。

ラクダの登場する砂漠の街などの、冒険の舞台となる世界「キャンペーン」を使って遊ぶのがダンジョンズ&ドラゴンズです。それぞれのキャンペーンごとに冒険の舞台・ルール・物語が異なります。


 これもやってる人ならお分かりのとおり、TRPGにおける「キャンペーン」とは、一般的には「連続した一連のシナリオ」のことを指す。「世界」のことではない。アドヴァンスドダンジョンズアンドドラゴンズのサプリメント「キャンペーンガイド」48ページの該当項にも、「冒険の舞台となる世界」を指してキャンペーンという言葉は出てこない(「キャンペーン・ワールド」あるいは「キャンペーン・セッティング」という言葉なら、あながち間違いとも言えなくなるが)。また、キャンペーンごとにルールが違うというのも、必ずしも正しくない。


 ところで、この人のように、ジオラマとフィギュアを使ってAD&Dを遊ぶとすると、ヘクスタイルを使う手法と違い、実際に配置したり移動したりするたびに、メジャーか何かを使って距離を計算しないと、射程距離や移動距離が正しく計算できないんじゃないだろうか。それもまた楽しさの一部なのかもしれないけれども。
 しかし、昔ある人が言っていたが、こういう風景を見るたびに、家の狭い日本人には向かないプレイスタイルだとつくづく思う(笑)。


 最後に、本当に正直なところを言えば、一つのTRPGを20年以上も遊び続け、国を超えてプレイヤーが集まってくれるダンジョンマスターという存在には羨望を覚える。そこまでくれば、あれだけ複雑なルールでも隅々まで覚えているだろうし、処理に困ることもないだろう。何よりプレイヤーが自分の物語を楽しみにしてくれる喜びは、ダンジョンマスターにとって何物にも代えがたい。いったいどんなセッションなのか、見れるものなら是非一度見てみたい。