カゼ(not風邪)は辛かった

ゲーマーズ・フィールド 21st Season Vol.3

ゲーマーズ・フィールド 21st Season Vol.3

カゼ(走り屋)の話

 お約束だけど、カゼとかニューロって昔は辛かったんだよな……。チェイスとかハッキングって他のキャストが行動する戦闘とかのアクションとは完全に別タスクだったから、ラッパンアスクのマーベリックじゃないけど「ニューロさんがハッキングしてる間にコンビニに行ってきますね^^」になるという……。
 しかも、ハッキングがある意味ニューロ自身にしか影響を及ぼさないのに比べて、カゼのチェイスは追走中にミサイルでもブチ込まれれば他のキャストにも影響を及ぼす。「カゼにしか解決できないタスクなのに影響が同乗者(ことによると全員)に及ぶ」というのが厄介だった。

 とはいえ、華麗なハッキングシーンがあるハリウッド作品がマイナーなのと違って、派手なチェイスシーンは映画の華だ。ことマーベルに限っても、アイアンマン2アベンジャーズのクライマックス、アベンジャーズ2の冒頭、キャプテンアメリカ2、3のリサーチフェイズなど、チェイスシーンには枚挙に暇がない。これをTRPGのセッションで再現したくなる気持ちはよくわかる。しかし、その爽快感をTRPGで再現するのは大変なのだ。

 もちろん、上に挙げたような問題点のほとんどは、最新作では解決されているけれども……(フォーカスシステムになっているので、カゼ以外も支援で出番はあるし、もちろん戦闘と平行で解決できる)。

 チェイスシーンについては、また機会があったら書く。下のエントリで。

悪徳の話

 今回のブレカナの記事は、なかなか興味深かった。特に、殺戮者と悪徳シーンだけを決めてセッションをするというくだり。これってD&Dのダンジョンデルヴ的なイメージだよね? 記事一つで終わらせるには惜しいというか、もうちょっと掘り下げてデータもつけて、サプリメントを一冊出して一つのプレイスタイルとして確立してもいいんじゃないかと思った。
 パッと浮かんだのは、シナリオジェネレータの簡易版みたいな感じで、シナリオ前にアルカナタロットを一枚引いて「舞台」を決めて、それにサンプル殺戮者を組み合わせてプレイするとかなら、一瞬で準備できて、しかもバリエーションも広がりそう。例えば「塔」なら「鬱蒼と茂る密林」、「運命の輪」なら「天空に浮かぶ城」とか。まぁ、本当に今回の記事を読んで思いついたっていうだけなんだけど(笑)。

えぇ……(ドン引き)

週刊ファミ通2016年5月5日号の特集記事“『艦これ』三周年おめでとう!”に関するお詫び


 たまたま他の件で探してたら見つけた10ヶ月前の記事。
 これは、ファミ通が無断盗用で投稿された画像に気づかず本誌で掲載してしまったことに対する謝罪記事」なんだけど、現在、記事のコメント欄の最後が盗用“した”方じゃなく盗用“された”方に対する罵詈雑言で終わってしまっている。
 ファミ通的にはこれで放置してていいわけ? これって盗用“された”方に対する謝罪記事で、その張本人に対する誹謗を削除も閉鎖もせずにページを放置したら、謝罪そのものが意味を成さなくなると思うんだけど。盗用そのものについてファミ通の責任を問うのはちょっと酷だと当時思ったけれど、このページはファミ通の管理下にあっていつでも修正できるものなんだから、しかるべき対応を取るのが当然だろう。やっぱりそういうところ、角川グループはガバガバなんだよなぁ……。

その言葉初めて知った

「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドが95分でクリアできる」というデマがどのように拡散していったかをご確認ください


 「ゲーム系迷惑サイト」っていう呼称があるのか。知らなかった。便利だからこれからはそう呼ぶことにしよう。ただ、個人的には「迷惑サイトを装った商業的ネガティブキャンペーンサイト」な気がするが……。

チェイスルールの話

 上のエントリの続きの話。機会があったらと書いたものの、時間を空けると忘れそうなので……。なお、主にNOVAの話であり、他のゲームに応用するのは……結構きついかも。


 チェイスの話をする前に、まずチェイスの定義をしておこう。実は最新のNOVA・Xにも、チェイスの定義そのものは書かれていない。ルールブックの記載は「ヴィークル同士の競争や追いかけっこがチェイスである」となっているが、実はこれだと十分ではない。その後の「逃走」「追跡」「勝利の結果」「敗北の結果」から定義を逆算すると「逃走側が逃げ切ることで条件を達成し、追跡側が追いつくことで条件を達成できるものがチェイスである」となる。
 ここで違和感を覚える人も、中にはいるかもしれない。そう、先ほど挙げた「映画的なチェイスシーン」のうち、いくつかは明らかにこの条件から外れるのだ。
 例えばアイアンマン2終盤の、アイアンマンとウィップラッシュのドロイドの空中戦闘シーン。明らかに追いかけっこを演じているが、これはチェイスではない。なぜなら、逃走側(アイアンマン)の目的はドロイドの殲滅で、逃げ切っても条件を達成できない、むしろ悪化するからである。似たようなことは、アベンジャーズ2の冒頭シーンでも言える。ジープやバイクを駆使したチェイスシーンに見えるが、これはヒドラの秘密基地に乗り込む潜入シーンであり、基地そのものはもちろん動いていない。守備隊と追いかけっこを演じているが、アベンジャーズの目的は敵から逃げ切ることではない。
 マーベル以外の映画を挙げよう。スターウォーズ旧三部作最後で繰り広げられた「エンドアの戦い」。イウォーク族と帝国のスピーダーが入り混じったスピード感溢れるチェイスに見えるが、これもどちらも「逃げても目的を達成できない」。すなわち高速移動しているのは「敵の攻撃から逃れるため」であり、あれは「ヴィークルを使った戦闘の演出の一部」なのだ。ヴィークルが高速で移動しているだけではチェイスにはならないのである。

理由が必要なのは……

 こうして考えると、チェイスの場合、イニシアティブを握っているのは「逃走側」である。「追跡側」は「逃走側」とコンフリクトしていれば、逃げられれば追わざるを得ないのでそれほど問題ではない。逃げる側に「戦うのではなく、あえて逃げる」理由がないと、そもそもチェイスが成立しないのだ。
 再びスターウォーズの例を挙げよう。旧三部作「新たなる希望」のラスト。あれはチェイスシーンである。もちろん、逃走側がルークで、追跡側がダース・ベイダーだ。ルークは逃走を成功させ、デススターに魚雷を打ち込むのが目的。ベイダーの打倒が目的ではない。逆に、ベイダーはルークに追いつき、撃墜するのが目的ということになる。ここで、チェイスを成立させるために、いくつかの条件が設定されていることにお気づきだろうか。
 一つは「時間制限がある」こと。もう一つは「ベイダーは強大で、今のルークでは勝てない」ことだ。この条件が設定されていないとどうなるか。ルークは取って返してベイダーを撃墜し、その後で悠々とデススターを破壊しに行けばよい。
 これは、スターウォーズだからこうなる、わけではない。チェイスならどのような場面でも生じ得る。

キャストが逃げる場合

 まず、逃走側がキャストである場合。「戦うのではなく、あえて逃げる」理由にはどのようなものがあるだろう。
 戦うことができない状況である、というのは考えられる。例えばキャストが集合していないとか。ただしこれは、登場判定のあるNOVAではキツい。キャストの合流は簡単にできるはずだし、むしろRLがそれを許可しないならその理由が必要になる。
 あるいは、被保護者、もしくは重要なアイテムを運んでいるから、とか。しかしその場合も「クライマックスまでにそれらを安全な場所に移送する」条件を考えないと、クライマックスフェイズも同じ理由で戦闘ができない、ことになりかねない。
 例えば、キャスト側ではとても勝てない超強力なウォーカーを登場させ、特定のプログラムで弱体化することにし、そのプログラムを完成させるためにタタラの元に向かう途中、件のウォーカーが襲ってくる、なんていう筋書きもあるかもしれない。

ゲストが逃げる場合

 逆に、逃げる側がゲスト側である場合。これは「単独行動していた敵が仲間の元に逃げようとする」というのはいかにもあり得る話だ。ところが、今度は何が問題になるかというと、チェイスを成功させても、敵の合流を阻止するだけで、実際にはそこで戦闘になるだろう。すると目の前にいるのは「こっちを見て逃げようとしたのに失敗した敵」であり、脅威と感じるのが難しくなるのだ。そんな敵が実は強かったりすると「じゃあなんでそもそも逃げようとしたんだよ」という話になってしまう。
 その場では何らかの理由で本気を出せず、逃げるしかなかった、というのもあるかもしれない。ガンダム0083のガトーのような感じか。あるいは「逃げることによって事情が変化し、キャストたちにとって非常に不利な状況となるのを待つ」とか。


 逃走側、追跡側、双方の事情を考えてみたが、これらには共通点がある。「シナリオで動機付けを与えないといけない」のだ。これは、キャストでもゲストでも変わらない。シナリオで「戦闘ではなく、あえて逃げる」理由をあらかじめ用意していないと、アドリブ的な展開は厳しい。
 さらに、シナリオにチェイスを組み込むということはカゼがいないと辛くなるということでもあり、ハンドアウトに推奨:カゼを組み込むということでもある。これが戦闘なら、戦闘系スタイルを推奨に入れていなくてもクライマックスに戦闘を持ってくるのは十分あり得ることだ。


 要するに、チェイスをやりたければ、それ用のシナリオを作らないといけないということだ。言い方を変えれば、シナリオのスパイスとしてチェイスルールを生かすことができるなら、普段と違う面白いシナリオができるということでもある。

最後に補足

 トーキョーNOVA・Xのチェイスルールは、過去のそれより一歩引いた位置にある。独自のルールでなく、FS判定のヴァリアントの一つとして整理されたのがその証左だ。このエントリの冒頭で書いたとおり、ハリウッド的チェイスシーンを再現したいからといって、必ずしもチェイスルールを使う必要はない。ヴィークルを使った戦闘を、それっぽく演出できれば用は足りるのだ。この手法なら、シナリオにあらかじめチェイスシーンを組み込んでいなくてもカゼのキャストにスポットライトを当てられる。
 今回の記事がカゼの特集でありながら、特段チェイスルールに触れられていなかったのは、公式も戦闘でカゼを活躍させる方向に一歩踏み込んでいるから、ではないだろうか。