銀幕少年その2

 昨日「近年ヒットしている邦画はアニメ映画ばかりだ」というTogetterのまとめを取り上げた。私のブログも、基本的に特撮やアニメ映画を除く邦画に触れることは少ない。しかし、以前邦画にハマっていたことはないわけではない。今日はそんな私の邦画遍歴を書いていこう。



 私が生まれて初めて見た「アニメ映画でもなく特撮でもない邦画」は、「夜逃げ屋本舗」という作品である。
 高校の頃、ある時何故か視聴覚の時間に「生徒の代表が自由に選んだ映画を見て良い」という機会があった。その時に選定を任されたクラスの誰かが選んだのが、この映画だった(今だったら著作権法の関係で許されなさそうだ)。
 ビデオ化されていたということは、恐らく劇場公開からしばらく経っていたと思う。この時代、既に私の自宅にはテレビがあり、両親が時折日本のドラマを見ることはあったけれども、それらにはあまり興味を持てなかった。しかし、この映画は面白かった。
 以来、シリーズ作品の「夜逃げ屋本舗2」と「大夜逃」は連続で見た。この作品、主人公が何か悪事を働くわけではないとはいえ、借金をしている人たちをお金を返さないまま逃がそうとするのがテーマだから、ある種ピカレスクものの作品に近いんじゃないかと思っている。
 特に印象に残っているのは2だ。ゲストキャラクターとして風間杜夫氏と細川俊之氏の2人が登場するが、悪役の細川俊之氏の迫力が凄かった。




 その後、たまたま当時TRPG関連の記事を目当てに買っていたニュータイプに「大誘拐・レインボーキッズ」という作品の紹介記事が掲載されていたので見てみたら、夜逃げ屋本舗以上に面白く、ハマってしまった。この作品は、今でも私の好きな映画のトップ3に入る。
 そのうちまたエントリで書こうと思っているが、筋書きの巧みさと、要所要所に挟まれる和歌山の田舎の風景、そして山林の美しい情景が非常に印象的な作品だ。
 こちらも主人公が誘拐犯ということでピカレスク的な作品で、この面白さを求めてその後邦画を漁ったりしたものの、「スペーストラベラーズ」というアレな作品に当たってしまう。その後「世にも奇妙な物語」の「ブラックルーム」の監督ということで期待していた「パーティー7」がまたとんでもない作品で、以来邦画を劇場で見ることはなくなってしまった。
 三谷監督の作品をレンタルで見たりはしたのだが、そちらも最初の「笑いの大学」が一番面白く、「有頂天ホテル」「マジックアワー」となるにつれて私の好みから離れて行ったので、その後は追っていない。

 思えば、私の好きな「大誘拐」はVシネマの第1号作品ということで劇場公開もされた作品だ。Vシネマというシリーズ自体が後に辿っていった路線と異なり、「映画を超えてやるんだ」という気概があった頃の作品である。予算のかけ方もスタッフの豊富さも違ったのだろう。若いアイドル人気に頼った作品と違い、パッケージも既に壮年だった緒方拳氏と北林谷栄氏という実に渋いものだった。