DS版は好きだった


バンダイナムコ、「テイルズ オブ イノセンス R」 再構築され生まれ変わった「TOI」がPS Vitaに登場!


 惨憺たる出来だったため、発売されたあとに実質ナンバリングを外された外伝のような扱い(エスコートタイトル)にされてしまったテイルズオブテンペストテイルズオブイノセンスはその後に発売されたDSオリジナルタイトルで「また酷い出来なのでは?」という予想をいい意味で裏切り、DSでもテイルズは作れるということを証明してみせた。
 最初、戦闘時のあまりの操作性の悪さに放り出してしまったのだが、ふと思い立ち「全員、AIによるオート戦闘」に変えたところ、AIが的確なアクションをこなしコンボも繋いでくれることがわかってすんなり進むようになった(回復魔法のタイミングだけは手動で指示するようにしていたが)。
 全体的に少々短目だが、やりこみ要素もあるし食い足りないとは感じなかった。ただ、ストーリーは「前世」と「転生」がネタであるため好みは分かれそうだ。嫌いな人はまったく受け付けないかもしれない。ただ、個人的にはヴェスペリアみたいに「ある程度成熟した主人公が、自分の考え方を自信満々に他人に押し付ける話」よりは、イノセンスのように「最初後ろ向きで情けなくてうじうじしていた主人公が、物語のなかでちゃんと成長する話」の方が好きだ。
 もっともこのテイルズオブイノセンス、テイルズスタジオではなくてアルファシステムの制作なので、他のテイルズシリーズとは毛色が少し違う。テイルズスタジオのテイルズシリーズが好きな人にはこのカラーは合わないのかもしれない。

 そして何より、KOKIAさんのOPが最高だった。



 リメイクではこのOPも新しいものになるらしい。KOKIAさんの新曲にはとても興味がある。
 ただ、DS版のリメイクなのだから3DSで出せばいいのでは? という気がするのだが、どうして3DSでアビスを出してVITAでイノセンスなのか今ひとつよくわからない。実は、そもそもPSPではテイルズシリーズの新作マザーシップタイトルが発売されたことがないのだ(移植はされている)。DSで発売されたイノセンスとハーツが異例だったともいえるが……。
 なお、好きな人には大変申し訳ないが、私はシリーズではアビスとレジェンディアが一番苦手だった。




(以下ネタバレあり)










 レジェンディアは本編ストーリーが終了すると個人ストーリーがスタートする(逆にそれぞれのキャラの掘り下げた話が見たければ本編をクリアしないといけない)という謎仕様がきつかった。
 アビスはただ単に「共感できる登場人物が一人もいなかった」。FF7もその傾向があるが「プレイヤーが感情移入している主人公」をストーリー上の都合だけで「実は偽者」とか「実は記憶を捏造されている」とかやられると、よほどうまく話を展開させない限り、気持ちの流れが断絶してしまい、ストーリーに共感できない。アビスはまさにこれで、アッシュが中途半端に可哀想なせいでルークに肩入れできなかった。かといってFF7と違い、他の登場人物も難ありな人物ばかりだったし……。