おじいちゃん、お夕飯はもう食べたでしょ

押井:先日、ドワンゴの会長が言ってたけど「日本では最下層の人間が全部ネットにぶら下がってる。これが日本の特殊事情だ」って(笑)

だからネットが罵詈雑言の世界になっちゃう。
恨みつらみばかりで人間性下劣な世界。
こんなにひどいネット世界は日本だけだって。
中国だろうがヨーロッパだろうがアメリカだろうが、
ネットでこれだけ聞くに耐えない言葉が氾濫してる世界は他にないんだって。
なんでかというと、日本は最下層でもみんな、パソコンや携帯を持てるから。

――そのためのインフラも整備されてますからね。

押井:そうそう。なまじインフラが整備されてるから、
他の国だとネットにアクセスできないような最下層の人たちが全部ネットにぶら下がっちゃった。
で、全体のネットの文化程度を全部引き下げてるというさ(笑)。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121031/238837/?P=5


 前に北久保さんのツイッターを紹介した時。

惜しい監督の説教も底が深い訳じゃないけど、少なくとも「他人の権威の傘を借りる事は無い」。コレは大きな違い。あと結果的にスタッフやお客さんを騙す事はあっても、それは惜しい監督の凄まじい勘違いの結果なので、本人には嘘を吐いてる自覚は無いし正直な人の部類に入る。


 というコメントがあったんだけど、それより最近はひどくなってるって理解でいいんだろうか。ドワンゴの会長が言ってることも(もし本当なら)酷いと思うけど(でもあの人なら言ってもおかしくないとも思う)、その発言を日経BPの記事で引用する方もする方だ。押井氏は元々宮崎監督みたいなメジャーに受ける作品を作ってこなかったから、その支持層ってマニアックな層、つまりここで「最下層」とレッテルを貼られている人たちが多分に含まれてるはずなんだが。どう考えても自分の顧客に石ぶつけたいとしか思えない。
 それと、酷い言葉がネットに氾濫してるのは日本だけっていうけど、海外だって日本の女性声優に局部写真を大挙して送りつけたり、酷い場所には酷い書き込みがあるのを見かける。経済状況に関しても、アメリカのホームレスの人がアイフォンとフェイスブックのアカウントだけを持って自分の情報を発信してる、なんてのがニュースになってたし(例えばホームレスも皆Facebookを使っている...アメリカの大学の調査より)、日本固有、特有の現象だと言い切る根拠はどこにあるんだ?
 なんか、ホントあちこちで思いつきだけで喋ってるって感じだなあ。次の映画を作るまで食い繋がないといけないから大変なのかねえ。外国と比べて日本はダメだーっていうのもお年寄りに特有の論調だよね〜(根拠レス)。


 ちなみに、こんな記事もあった。


きっかけは「攻殻機動隊」 “透明プリウス”の稲見教授が語るアニメと科学の関係


 そうそう、これだよこれ! こういう記事だよ!

 企業の取り組みと攻殻機動隊を絡めるならこういう記事こそが素晴らしいと思う。「企業はもっと押井監督の攻殻機動隊を読め」とか愚痴愚痴言うより、こういうニュースの方が100倍説得力がある。この記事ではちゃんと士郎正宗さんの攻殻機動隊、ってなってるし、一々言われなくたって物を作る人たちの中にもそういう作品に触れたインスピレーションを製品に生かしている人たちはちゃんといることがわかる。
 そして、この記事を見てたら

―― Production I.Gのアニメ「東のエデン」ではAR(拡張現実)がキーデバイスとして出てきました。その1年前、稲見先生と私も参加したある研究会の打ち上げに、同作品の神山健二監督が現れ「アニメのネタを仕入れに来ました」と語ったことを思い出しました。

稲見教授 最先端の技術をリアリティのある描き方をされていて感心しました。

―― その打ち上げ会場には稲見先生をはじめそうそうたる研究者が顔をそろえてましたね。

稲見教授 「(AR技術を紹介するWebサイト「工学ナビ」の)橋本直さんなどがいましたね。そのほかにも「電脳コイル」の磯光雄監督などアニメ制作者との交流は多く、お互いに刺激を受けています(注:打ち上げは神山監督を橋本氏らに引き合わせるための会でもあったそうだ)


 ちゃんとこんな交流までしてるんじゃん……。企業人はSF読めとか言ってた人たちは当然このことは知ってたんだよね? 神山監督は押井氏の元弟子だったわけだし、まさか何も知らなかったなんてことはないと思うけど、どうしてあの記事の中で触れなかったんだろう。