行って参りました

 先輩に誘われて、こちらに行って参りました。


企画展「GAME ON〜ゲームってなんでおもしろい?」

新旧のゲームを集めた企画展「GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?〜」の内覧会をレポート。ゲームの過去と現在,そして未来を実際に体験しよう(以下、エントリ内の写真は全てこちらより引用しました)


 最初幕張と勘違いして「超会議の隣とは凄いな」と思ってたらこちらはお台場だったという。*1


 まずはじめに。公式HPによれば、このイベントは海外では開催実績があるが、日本では初めての開催とのことなので、その試み自体は高く評価したい。実は感想を書いてみたら割と辛口になってしまったので、これは最初に断っておきたい。以下に述べることは「次回開催では改善してほしい」という内容になる。

展覧会なのか──

 引き続き公式HPより。このイベントそのものは「展覧会」と呼ばれている。もしこれがいわゆる「展覧会」なのであれば、当然あるはずのものが、なぜか存在しなかった。

 一つは「パンフレット」である。

 普通、一般的な展覧会では入場前にパンフレット売り場が(土産物売り場とは別に)あり、ある展示ブースには何が展示されているのか、それがどういう意図で展示されているのかを説明するものがあるはずだ。それがないので、来場者は展示意図がよくわからないまま展示物の前に立つことになる。

 ここで来場者は、次に足りないものに気づく。それは「展示物の説明パネル」だ。

 このイベントは各コーナーは分かれているが、一つ一つの展示物には展示物の名称しか説明がない。「ギャラクシアン」だとか「バーチャファイター」あるいは「プレイステーションファイナルファンタジー7」みたいな表記だ。
 例えば「第1ブースの『プレイの誕生』コーナーには、なぜ『ドンキーコング』と『サムライスピリッツ』が隣り合わせで並んでいるのか?」という来場者の疑問には、最後まで回答がないままだ。
 それどころか、実際に展示されているゲームで遊んでいる来場者、その後ろに並んでいる来場者がいるため、ハードウェアそのものもゲーム画面も後ろから見えないことが一回や二回じゃなかった。このイベントを「展示会」として考えると「他の来場者の影になって展示物が見えない」というのは、かなりどうかと思う。

 この二つの根っこは同じところにある。本来、展覧会には「テーマ」があって、そのテーマについてどういう意味づけで展示物を配置しているか、それが主催者の「見せたいもの」であるはずだ。ところがパンフレットもパネルもないので、このイベントが何を企図しているのかが読み取れない。歴史を順に辿らせたいわけでもなく(出展物の年がバラバラに並んでいることからそれがわかる)、アクションやRPGといったジャンルごとに分かれているわけでもない。

──それともゲームショウなのか?

 では、このイベントは展覧会といっているが、実際はゲームショウのようなイベントなのか? 来場者が古今東西のゲームをフリーで遊べるようになっていること、親子向けのメッセージがあちこちに見受けられたことからすると、そういう意図があったとも推察できる。確かに、ガラス張りのショーケースに飾られたゲームハードとパネルを眺めるだけでは子供にとってはつまらないだろう。実際に体験して遊んでもらいたい。そういう思いは理解できなくもない。
 しかし、ゲームショウとして見てみると、またしても足りないものが二つある。

 一つは「館内案内図」だ。

 ゲームショウなら展覧会と違って順番に決められたコースを巡る必要はない。好きな順に好きな場所に行けばいい。ところが、パンフレットと同様館内案内図がないため、お目当てのゲームが仮にあってもそれがどこにあるのかさっぱりわからない。場内中を探さなくてはいけないのだ。

 次に「会場整理」が足りていない。

 子供を含む来場者はこのイベントにやってきて、やりたいゲームの前に並ぶ。ところが、ゲームのジャンルはRPGからアクションからいろいろあるにも関わらず、時間制限も列整理もない。ずーっと台を占有している子供の後ろで別の子供がやりたそうにじっと眺めている状景を、私は場内で何度か見かけた。実際のアーケードゲームならプレイ料金がその足かせになるし、連コインが禁じられていれば終わったところで席を立つだろうが、フリープレイであるため制約はなく、注意書きも見当たらなかった。あったのは人気が高いマインクラフトとPSVRの体験会整理券配布だけである。
 また、子供の視点で見ると昔のアーケード台は高く、さらにほとんどの台が「立ったまま」の高さに設定されていたのも、かつて駄菓子屋の店頭にあったゲーム台を思わせるが、来場者は疲れるのではないだろうか。

 ただ、この点に関しては場内に「座るスペース」が多数設けられていたのは評価する(全部埋まっていたが……)。

マニアックな視点から

 デイトナUSAの稼動台が見れたのはちょっと嬉しかった。もしそこにF−ZEROAXの稼動台があったら、万難を排してプレイしただろうし、休日のたびに通ったかもしれないが、残念ながら見当たらなかった。

 ゲームのセレクションは結構謎で、4gamersの出展リストを見ればわかるとおりPCゲームは極端に少ない。探せば実機を持っている人が見つかりそうなMSXも出展はなく(サターンに移植されたもののみ)、ジャンルでいうと格闘ゲームやシューティングが幾つも見える一方、アドベンチャーゲームに分類されそうなゲームはほとんどなかった。

 個人的にビキビキきたのは、場内にあったRPGに触れたコラムのところ。画面に表示されたコラムには「TRPGの面倒な計算をコンピュータにやらせる形で進化したのがコンピュータRPG」との記述があった。TRPGとCRPGの面白さは「別物」であり、どっちが上下という関係ではないと考えている私としてはちょっとイラッときたが、同じ場所に展示されていたのがD&Dの赤箱、青箱ときて何故か緑箱でも黒箱でもなく、オレンジ色のスーパーキャラクターレコードシートとフィギュア(敵が全部狼)だったのはちょっと可笑しかった。

(画面左、ガラスの天板にわずかに映りこんでいる)

 ゲームウォッチのコーナーは広さに余裕があったせいか、比較的のんびり見れたのだが、正直「あれ? ゲームウォッチってこんなに小さかったっけ?」という印象だった。通りすがりの来場者も同じことを言っていたので、リアル世代は似たような感想を抱いたのではないだろうか。実際は多分、我々自身が大きくなったせいで相対的にそう感じているだけなのだろうが。ただ、二画面式のゲームウォッチドンキーコングしか知らなかったので、たくさんの機種が並んでいたのにはちょっとびっくりさせられた。

 あと、これはこのイベントとは直接関係はないが、この建物の近くに飲食店が少なかったのには閉口した。後で土地勘のある人に聞いたところ、ここはビジネス街なので休日はほとんどの店は休んでしまうらしく、喫茶店で一息つくためだけに新橋まで戻る羽目になってしまった。もし場内で一息つける場所があれば、もう一度場内に戻ったかもしれないが……。


 いろいろと苦言を並べてしまったが、初めてのイベントということを考えるとこんなものなのかもしれない。

 最後に一つ。場内では、展示物のゲームで遊んでいる人と、展示物のゲームを待ちながらスマホで遊んでいる人の両方を見かけた。携帯ゲームのコーナーなどでは、来場者が展示物で遊んでいるのか私物で遊んでいるのかよくわからない、なんて光景も見かけた。
 場内ではソシャゲタイトルはアングリーバード、パズドラ、ファームビレッジを小さく扱っているくらいしかなかったが、土産物のコーナーを過ぎて外に出るところに、デカデカと「誰が為のアルケミスト」のスペースが置かれ、デモをガンガン流して宣伝していた。もちろん、公式HPでも4gamersでも一言も触れられていないところを見ると、これは出展スペースとは無関係なのだろう。
 それを見て、先輩がポツリと言った。


「これこそ、今のゲーム業界の象徴だよな」

*1:なお超会議の方は、ゲームが別日になった時点で興味がなくなった。