もう一つのアリアンロッド

剣の街の異邦人TRPG

剣の街の異邦人TRPG


 まず驚いたのがルールブックの版型。世界樹の迷宮TRPGと同じサイズでもなく、文庫でもなく、まさに「吹雪、頑張ります!」と同じで(新書でもないよなこれ)、最近のリプレイ+データブックで多いサイズ。
 また、メインクラスとサポートクラスの区別がなくなって、PCのクラスは1つを選ぶだけとなっている。これは元のゲームシステムに準じているんだろう。自動習得スキルもなくなっている(バッシュが任意で、プロテクションは消滅)。パーティを組むにあたってファイター、シーフ、プリースト、メイジから一人ずつという制限も特にない。クラスは8つあるが、ファイター系(ファイター、ナイト、サムライ)とシーフ系(ニンジャ、レンジャー、ダンサー)が3つずつ、あとプリーストとメイジという感じ。サンプルリプレイもそういう選び方になっている。
 PCのプロフィールをアリアンロッドから見ると全員種族はアーシアンになるけど、剣の街の異邦人だとこっちに来たときに種族が決まるようだ。
 あと、一般スキルはたぶん、原作ゲームにはない要素だろう。


 で、感想。といっても、世界樹のときと違って私は原作ゲームをやったことがないので、あくまでもTRPGの視点から見た感想になる。
 どっちかというと「剣の街の異邦人で遊んだことのある人をアリアンロッドへ案内する導線」という感じがした。逆ではない、というか。というのも、ゲームを知らない立場からすると、これをやるならアリアンロッドを遊ぶかな、と思ったので。
 前にもちょっと書いたけど、ウィザードリィ系のダンジョンRPGって、プレイヤーがパーティメンバー全員を作成するので、キャラクター一人ひとりに個性がなくても、パーティ全体でプレイヤー自身の個性を出せる。でも、TRPGはPC一人に対してプレイヤー一人なので、選べるキャラクタークラスが一つだと個性付けするのが難しい(できないとは言わないが……)。
 誤解を恐れず乱暴に言ってしまうなら、剣の街の異邦人TRPGは、ゲームに合わせてアリアンロッドを「簡略化」したもの、と私には見える。実際、ルールブックは一見驚くほど分厚いけれど、1/3弱はリプレイ。ルール部分だと200ページくらいである。剣街をプレイしたことのあるTRPG初心者向けの作品、そう見るとなかなかいいのかもしれない。この設定のままアリアンロッドへ持ってくればアースランで遊べるし。
 ただ、これをアリアンロッドのサプリの一つのように扱うのは……なかなか厳しいかもしれない。クラスデータなどがほぼ「名前は同じで中身は別」になってしまう。それぞれ独立した作品としてみたほうがよさそうだ。