魔法(物理)とTRPGに関するつれづれ話


 コメントで「リウイ」だとか「ロードス島にもいた」というのを見つけて思わず笑ってしまった。
 確かに私も「肉弾系魔法使い」と言われた時、最初に連想したのがリウイだった。ただ「リウイの言動はソードワールドのシステムでは再現不可能」だと私は思う。特に「素手で殴った方が魔法より強い」というリウイの一番の特徴は、グラップラーというクラスがちゃんと用意されている2.0ならともかく、旧版で、それもリウイの設定データを見る限りまずあり得ないはずだ。
 ロードス島の肉弾系魔術師というのはアルド・ノーバのことだろう。キャラクターメイキングの時点で「魔法使いといえば線が細いという固定観念を打破する」的なことを言っていた気がする。ただ、ガタイがゴツいだけで中身は普通の魔法使いであり、別に素手で殴って戦うわけではない。リウイと違い、アルドにはミスマッチ的な面白さがあった。
 あともう一人、フォーセリアにはシステムの穴を衝いた肉弾系魔術師がいる。ソードワールドアドベンチャーのレイハだ。メイジスタッフとソフトレザーしか装備できないというソーサラーの制限を逆手に取り、スタッフを杖術のように操る戦士のキャラクターである。理系の山本氏の作品らしく、データで設定された通りの行動をしていたレイハは、ちゃんと地に足のついたキャラだった。
 ただ、フォーセリア世界で私が不思議だったのは、「片手さえ開けていれば、銀の武器/防具なら装備できる」という、装備制限の薄いシャーマン技能とファイター技能を高レベルで共存させていたキャラクターがほとんど印象に残っていないことだ。魔法戦士といえばこちらの方がよっぽどやりやすかったと思うのだが……。


 ところで、動画の中で聖が「打撃用の武器を装備して物理攻撃を行う」「自己強化や敵の弱体化、ダメージの回復をこなしながら前衛で敵を撲殺する」といってるんだが、これは魔術師じゃなくて僧侶じゃないだろうか。魔法使いと呼称すると両方入るのかもしれないけども。少なくとも僧侶系でいえば、初代D&Dの頃からクレリックは前衛系クラスであり、それほど不思議なことではない。
 問題は、いわゆる「魔術師」、戦闘時に攻撃魔法を放てる人間が、わざわざ近づいていって相手を直接殴るか、ということの方だ。剣で斬るより火の玉飛ばす方が強ければ普通は火の玉飛ばすだろうし、火の玉が剣より弱ければわざわざ魔術師になる人間はいない。TRPGだとCD&Dのエルフ、あるいはT&Tの魔法戦士辺りがそれに相当しそうだが、別のエントリでも書いたように、マルチな能力を持たせると他のキャラクターの見せ場を奪ってしまうので、最近はそういったクラスは余り見かけない。
 というわけで、パチュリーの言っている「よしんば殴るまでの過程に魔法が使われていたとしても最終的に打撃」というイメージを重視すると、D&Dの「へクスブレード」のように物理攻撃を魔法で強化するクラスの方が思い浮かぶ。ソードワールド2.0にも「エンハンサー」と呼ばれる魔力で自分を強化して戦うクラスがある。
 ところが、アリアンロッドアルシャードブレイドオブアルカナでは似たようなクラスが思い当たらない。エフェクトスで元力で素殴り、とかもできなくはないのだが、あまり肉弾系というイメージはない。FEAR系のゲームはパーティ内の役割分担を明確に、比較的厳密にするためだろうか? 魔術師と戦士の役割の両方に跨る、いわゆるFFの「魔法剣士」的なクラスは少ないような気がする。