満を持して世界レベル


 1:01秒で吹いた。


togetter.com


 ヘレン襲名制以来のインパクトだった。

 しかもこのSSRの特技「ワールドレベル」、このフェイスがオープンすると性能が変わる(ダンスアピール値が+100%から+130%に上昇する)という芸の細かさよ。まさに1週目SSRの大トリに相応しい世界レベル。さらに、フルコンボした時に専用画面が表示されるらしい。強い。同時に実装された水野翠が「デレステ初の長い裾の衣装」で、こっちはこっちで凄いはずなんだけどヘレンが凄すぎて話題になってない(笑)。


コロコロ少年の思い出(26)「アンチマジックシェルの秘密」

 昨日のエントリで「石化呪文の解除で議論になったことがある」というエピソードに触れた。
 実は、プレイグループ内で似たような議論が──それも、ルールブックやサプリメントではなく、1冊のマンガが原因で巻き起こったことがある。


BASTARD!! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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 「Bastard!」である。前にも書いたかもしれないが、週刊少年雑誌に掲載された剣と魔法のファンタジー世界を舞台にした作品としては、ほぼ最初期の作品だったと記憶している(ドラクエのコミカライズよりもちろん前)。雑誌の購読者数は今とは比較にならないほど多く、よって、掲載作品が読者層に与える影響も絶大だった。
 当時、TRPGのルールブックにもサプリメントにも、そしてゲームブックにもイラストは数えるほどしかなく、CRPGも今ほどグラフィカルではなかった時代である。「ファンタジーを題材にした漫画」である本作品には、ビジュアルイメージの補完という意味では非常に助けられた。

 しかし、である。
 この作品、少なくとも連載初期はスタンダードなファンタジーRPG的な世界観を持っているように見せつつ、時折どこから持ってきたのかわからない設定を持ち込んでいた。そのうち一つが今日の本題「アンチ・マジック・シェル」である。
 この魔法は、第2話(読み切りに続く連載第1話?)の時点で登場する。ヒロインであるヨーコの父親にして神官のジオが、主人公である魔法使いダーク・シュナイダーの魔法を防ぐために使った魔法である。この作品、欄外に「蘊蓄」コーナーを設け、作中に登場する、まだ余りメジャーではなかったファンタジー用語についての解説を入れている。アンチマジックシェルの説明はこうだ。

絶対魔法防御(アンチ=マジック=シェル)
魔法防御(カウンター・マジック)の最上級呪文。一度使用すると、その効力の強さのため、自らの魔法をも遮断してしまう究極の対魔法防御手段


 これを読んで「あれ?」と思う人は多いのではなかろうか。今、解釈するなら「これはこの作品特有の設定に関する説明であって、一般的な西洋風ファンタジーRPGについての説明ではない」(民明書房的な意味で)ということであれば理解はできる、となるだろうか。

 まず、この作品が掲載された時点で「アンチ・マジック・シェル」が存在したゲームは、恐らくD&Dしかない。日本語環境ではソード・ワールドさえ発売されておらず、海外のRPGも入手困難だった時期である。ところが、D&Dにはカウンター・マジックなる呪文がない。ソード・ワールドにはカウンター・マジックは存在するが、効果が根本的に異なる。カウンター・マジックは魔法抵抗力をわずかに上げるだけの呪文である。
 さらに、D&Dともソード・ワールドとも異なるのが、これを僧侶が使っている点である。D&Dにおけるアンチ・マジック・シェル、ソード・ワールドにおけるカウンター・マジックは、魔法使い系の魔法である。前者においてはこれは特に重要だ。何故なら、この魔法は敵味方の魔法をすべて無効にするものだからだ。肉弾戦に優る僧侶にこれが使用できるのなら、魔法使いに対して一方的に優位になってしまう(冒頭作品でもそういう使い方になっている)。
 そうではなく、この呪文は自らの魔法以外に攻撃手段も防御手段も持たない魔法使いが、自分の最大の武器を捨てる代わりに相手に最大の武器を封じる呪文なのだ。
 しかし、これだけなら作劇上の都合とでも何とでも理由はつく(セッション時にはルールに従うだけなのだから問題にはならない)。

 議論になったのはこの点ではない。この次だ。ダーク・シュナイダーは、ジオに対抗するため、地下からゴーレムを召喚する。魔法は防げても、ゴーレムの物理攻撃は防げないだろう、と。
 防げないことを前提に物語は続くが、実際にクラシックダンジョンズアンドドラゴンズで「アンチ・マジック・シェル」が登場した時に、ここが論点になった。

「魔法で作られたゴーレムの攻撃は、アンチ・マジック・シェルを貫けるのか?」

 もし、この作品に「アンチ・マジック・シェル」が登場しなければ、恐らくこんな使い勝手の悪い魔法は存在ごと流されていたはずだ。しかし、「アンチ・マジック・シェル」なる未知の魔法はプレイヤーの記憶に残り続け、そして実際のセッションで疑問となって噴き出した。日本でやたらビホルダー知名度が高いのも、この作品に登場したからだと私は思っている。
 このビホルダーが使う「アンチ・マジック・レイ」(魔法消去光線)も、微妙に効果がアンチ・マジック・シェルと異なっていたり、CD&Dには他にも「リムーブ・カース」(呪いを解く)、「ディスペル・マジック」(魔法消去)など、紛らわしい名称、紛らわしい効果の能力が複数あるが、私のプレイグループにおいては「アンチ・マジック・シェル」の存在が、その口火を切ってしまったのだ。


 なお、これらについても、昨日と同様、D&D3rd以降のルールブックにおいては、説明が詳細になっており、問題になることは少ないだろう。あくまでも、CD&D時代の思い出話である。*1

*1:ちなみに、これは私の完全に個人的な想像だが、冒頭の作品がカウンター・マジックという言葉を引用したネタ元は、ソード・ワールドの発売前の連載「ファーラムの剣」ではないかと思っている。というのも、この作品、他にも「古代語魔術」(ハイ・エイシェント)などという、なかなか偶然には一致しないと思われるフォーセリアの用語も作中で使用しており、当時のSNEの記事でAncientはエイシェントじゃなくてエンシェントだろ、とか突っ込まれていたからだ(笑)。