みんな突っ込むと思ってるだろうから

「FFXI」はいつまで遊べるのか。気になる“ヴァナ・ディールのいま”を松井聡彦プロデューサーと藤戸洋司ディレクターにインタビュー

4Gamer
 FFXIでは2015年11月に「ヴァナ・ディールの星唄」のストーリーが完結し,2016年3月にPS2 / Xbox 360版のサービスが終了しました。大きな節目を迎えているいまの,正直な心境をお聞きしたいのですが。

松井氏:
 星唄を作っているときは,最後のストーリーということもあり,開発チームが全員一丸となっていました。とても忙しかったのですが,いろいろなことを振り返りながら,充実した日々を送っていましたね。PS2 / Xbox 360版のサービス終了に関しては,それによりプレイヤーさんが激減してしまわないか心配しましたが,いざ迎えてみると杞憂でした。


 それは見方を変えると、少なくとも最低1万以上、数万本(今のログイン人数からすると人数にして10サーバ分近く?)あるいはそれ以上売れたとも言われるPS2版アドゥリンの分のプレイヤーが、移行分を除いてごっそりいなくなったことを認めることになるわけだが。そもそも、ディスク売っておいて3年かそこらでサポート打ち切ったことについて胸を張られても……。なお、実際にPS2で終了後にログインしてみたけど、告知がポーンと1枚出るだけ。

4Gamer
 分かりました。ハードウェアのスペック面で,PS2 / Xbox 360版は,PC版よりも大きな制約がありました。そちらのサポートが終了になったということは,ある意味“足枷”が外れたという見方もできそうです。PC版に合わせたハイスペックな追加コンテンツを期待する声もあると思いますが,そのあたりはいかがでしょうか。

松井氏:
 それが,実は難しいんです。実際に開発の手順を話しますと,例えばイベントシーンなどのグラフィックス回りの作業では,最初にPS2向けの開発ツールで作成したのちに,ほかのプラットフォーム用へのコンバート作業を行います。これはFFXIの開発の仕様で,PS2 / Xbox 360版のサービスが終了した今も同じなんですよ。

4Gamer
 え,そうなんですか。ということは,スペック面の制約は変わらず残っているわけですか。

藤戸氏:
 そうなりますね。


 マジでなんでサービス切ったんだよ(笑)。

藤戸氏:
 順番に説明していくと,「フェイス」は,有名なNPCの分身が,仲間として一緒に戦ってくれるというシステムです。以前プレイされていた方なら,「フェローシップ」の人数を増やしたバージョンとイメージしていただくと,分かりやすいかもしれません。
 冒険を進めていくと呼び出せるフェイスの種類は次々と増えていきます。同時に呼び出せる人数も最終的にはフルパーティ規模となるので,1パーティ向けのコンテンツに一人で挑戦することも十分可能です。


 フェローとかマジ使えなかったんで、昔しか知らない人は「あれの数が増えたところでクッソ役にも立たない」というイメージしか湧かないだろ。
 あと「冒険を進めていくと」っていうのはダウト。フェイスの呼び出し人数については確かに星唄の進行段階によって増えるので言ってることは正しいが、呼び出せるフェイスの種類については「期間限定のログインポイント」で取得できるものが相当数(今日現在、101種中なんと53種、半分以上が期間限定)あり、これらは今から復帰してもほとんど取得不可。特に、復帰者のソロ攻略記事とかを見ると必須に近い扱いにされている最強フェイス「シャントット2」なんかは、例えば今日から復帰しても、今のところ絶対に取得できない。
 これがそれ。


 引用元はこちら(【ネ実】獣がまさかのトップクラスジョブに、シャントットがビーム、5桁経験値やダメージ・・・FF11をとっくに引退した人が信じることができない現在のFF11)。

松井氏:
 現在はチームをコンパクトにしていますし,数字はお答えできませんが,損益率は優秀で会社の利益にも十分貢献していますよ(笑)。


 損益率が優秀なIPを外国のソシャゲ会社に売ったんか……。

4Gamer
 長らく休止されている人にとっては,「FFXI=パーティプレイを前提としたガチガチのMMORPG」という認識が根強くあるかもしれませんし,この3システムだけでも“リニューアル”と呼ぶに十分な変化ですよね。

松井氏:
 はい。FFXIの開発当初は,ハードルの高さに見合った報酬をという当時のトレンドを受け継いで,高いハードルこそがコアなプレイヤーさんに求められていると考えていました。ですが,運営を14年も続けるうちに,プレイヤーさんのプレイスタイルもかなり変わってきましたので,開発のポリシーもそれに合わせる必要があったのです。


 ここ重要。


 FF11を離れてしばらくDQXをずっとやり続けているなかで、どうしてアドゥリンショックで自分があれほど拒否反応起こしたのか、色々考えてみたんだけど、開発陣との意識の乖離が一番大きかったのは多分この部分になる。
 前にチラッと書いたけど、アルタナの最終盤でフェイスが導入されて、それからアドゥリンとアイテムレベル導入という順番だったら、自分でもそれほど抵抗はなかったと思う。何しろ、少なくとも私のいたサーバは、あれで人数半分減ってるんで。
 じゃあ何が問題だったかっていうと、アイテムレベルの導入。正確には、その導入で「それまで細々と存続していたコミュニティが粉々に破壊された」こと。これ、恐らく今でも開発とは意識がずれている。旧機種の切り捨ての際にフレンドメッセージが移行できなかったことも然り。私がオンラインゲーム上で起こる様々な事象に対して否定的な態度を取る場合、究極的な理由はこの一点「コミュニティにとってそれがマイナスだから」に尽きる。
 特定のジョブを弱体化したりアイテムを強化したり、そういうのに個人の意見を言っても意味ない、と書いたことがあるけど、それはそれ自体がコミュニティの存続とは直接的には関係がないからだし、フォーラムに反対したのはそれがコミュニティの対立を顕在化するからだ。

 で、アイテムレベル。今でこそ松井氏も藤戸氏もこんな言い方してるけど、当時プレイヤーたちを戦慄させた電撃のインタビューで岩上氏や伊藤氏や開発陣がなんと言ってたかというと「メナスインスペクターは我々が自信を持ってお送りする最高のフルアラコンテンツ。友達がいないからできない? じゃあ殻を破れば?」「今までのアイテム? ゴミになるけど取っときたい人は取っとけば?
 ──これで、既に死んでいた空LSや裏LSだけでなく、海LSやエインLS、サルベージLSといった目的別LSの「残骸」、あるいは普通のLS内で少人数活動していたコミュニティのほとんどが死んでしまった。というと「だから打ち直しできるようにしただろ!」と返されそうだが、それが実装されたのは半年後のこと(しかも結局アドゥリンコンテンツの報酬が必須)。少なくともその時点では、レリミシエンピなどへのモチベーションが全て消失してしまった。
 当時のエントリでも書いていたとおり、水晶竜だのレギオンだの、多人数対象で野良ではハードルの高い難易度のコンテンツしか追加されていなかったところにアドゥリンで期待させてこれだった。まさに「上げて落とす」。


 繰り返すが、問題はこれで「コミュニティが壊れた」こと。水晶竜、レギオンについてこれた層以外が脱落した。その意味では、その後追加されたエミネンスレコードやユニティコンコードについては、対応は正しかったかもしれないが遅すぎた。割れた氷は元には戻らない。
 また、ここでも紹介されているフェイスシステム。緩和策の一つとしてアピールしたいようだが、実はこれまた実装後半年経つまで、PTでは使うことができないソロ専用のシステムだった。つまり「フルアラは集められないし、参加するにもハードルが高いが、残ったフレンドが数人いるから一緒に遊べればいいな」と思っているプレイヤーは、アドゥリンから1年以上も打つ手がなかったのだ。
 結局、この「最新コンテンツができない少人数のコミュニティ」が一番キツい。当時「まったり(笑)やるならコンテンツレベルなど無視して旧コンテンツをやればいい」なんていう意見も目にしたが、では「開発にゴミと言われたアイテムを作るために友達を付き合わせられるか?」という話になる。できると断言できるような人には、10年続くオンラインゲームのフレンドなんて残らない。


 そして、そんなプレイヤーが今は楽になったかというと、上記のインタビューでもソロについてはやたら力説されているものの、その次はいきなりエンドコンテンツの話になってしまい、その途中、少人数PTの話は一切出てこない。彼らにとってはその途中は「コミュニティ」ではないのだ。だからRedditのインタビューでもあんな受け答えになるのだろう。
 しかし私は、彼らに蔑ろにされた、ヴァナを去っていったプレイヤーの多くは、そういう層だったのだと考えている。少なくとも私の友人たちは、ほとんどがそうだった。かつては大人数で遊んでいたけれど、周囲の環境が変わり、一人減り、二人減り、それでも残された数少ない仲間たちと何とか遊びたいと思っていた人たち。
 ソロがやりたいならオフラインゲームで遊べばいい。友達と遊びたいからオンラインゲームで遊ぶのだ。だがそんな人間は、彼らの眼中にはなかったようだ。


 ああ、すっきりした(笑)。
 最後にもう一箇所突っ込んでおこう。

4Gamer
 先ほども少し話をうかがいましたが,あらためて,これからの開発・運営の方針について教えてください。何より,「いつまで遊べるのか」……は既存プレイヤーにとってものすごく大きな関心事だと思いますし。


松井氏:
 そうですね。まず大前提となるのは,FFXIのサービスをこれからも末永く続けていくことです。「ファイナルファンタジー」のナンバリングを冠している以上,“XI”を歯抜けにはできません。そのような事があってはならない,という強い思いがあります。


 この理屈だとFFシリーズが続く限りサービス終了はあり得ないって話になる。吐いた唾飲まんとけよ? 掌返して休止すると言い出したら絶対蒸し返すからな?


 ──と思ったけど、ドルオンとかウィズオンとか見てるとアレだ。休止するとなったらその前にまず松井氏が飛ばされてるだろうし、その前に社長がいつまで今のままかどうかもわからんしな……。