先輩に誘われて観て参りました


 誘われなかったら絶対観に行くことはなかったと思うけど……(笑)。
 以下、一応ネタバレ回避で。












 正直この作品、相当原作に忠実なんで、原作読んでる人にはネタバレも何もないとは思うんだが……。


 ええっと、まず総評から。物凄く頑張ってたと思う。昨今ネットでは「妙な実写映画化」を忌避する流れだけど、ぶっちゃけそれすら織り込み済みの潔い開き直りすら感じた。衣のリボンとか和のエトペンとか、カッコつけた実写化なら省略しちゃいそうなものを、あえてそのまま。初代ハリウッドX-MENウルヴァリンのユニフォームを「黄色いタイツでも着るつもりか?」とからかわれてたけど、まさに黄色いタイツのまま実写化したというか。
 それはそれとして、「麻雀」というテーマ自体は、別に実写化に技術が必要だったり、困難だったりするテーマではない。なので、後は咲独特の「誇張表現」みたいなものをどこまで拾うのか、という話なんだけど……。
 なお、この劇場版は原作の長野県大会開始から終了までのストーリーにあたる。


・先鋒戦。タコスは「コミカルな演出が清涼剤になる」タイプで、実写でもその雰囲気を失わないようにしようとする物凄い頑張りが感じられた(笑)。井上もなかなかいい人を連れてきたとは思ったが、実写でタコス横取り食いをされると、原作よりはやっぱりちょっとアレだ。まぁ、大将戦の池田の比ではないけど……。


・次鋒戦。実写化そのものへの色眼鏡を外して考えると、純粋にアニメ1クール分の情報を100分ちょっとに詰め込もうとしているわけで、やはり時間の制約は大きい。一番割りを喰ったのが多分ここで、能力の説明が辛うじてされるだけで背景の説明がほぼないまま終わってしまうので、素人に全員蹴散らされて見せ場なし的な展開になってしまった。


・中堅戦。繰り返しになるが、原作と牌譜、得点、展開はほぼ同じであり、ここはキャプテン無双のターン。戦犯動画で有名な文堂は、あの特徴的なビジュアルが普通になっているので「通らばリーチ」が出るまで存在に気づかなかったくらい。また、実写化の尺制限で割を食ったもう一人がここの蒲原。「ワハハ」もなく実は部長でした的な台詞もなく、鶴賀で一番目立たなかったのではないだろうか。


・副将戦。恐らく時間の関係か、ここのエトペンのエピソードは原作から変更されていた。トランス透華も展開が複雑になりすぎるためか完全にカット。なお、劇場で一番笑いが起きたのが「和がのどっちに覚醒するシーン」だった。あれは凄かった(笑)。*1あと、原作でも唐突感あったステルスモモの存在に吹いた。ちゃんと原作どおり、試合開始から最初に上がるまでほぼ画面には映っていないのだが、一旦映ってしまうと存在感がないどころか、副将メンバーの中で一番存在感がある(笑)。何故だろうと思っていたら、先輩に指摘された。作中、なぜかモモとゆみは冬服を着ているのである(大会は夏)。


・大将戦。そもそも予告で分かるとおり、劇場版では冒頭から、衣がラスボスっぽい演出になっている。タコスでも書いたが、原作が可愛い絵柄やギャグで救われている部分が、実写になるとそのまま剥き出しになるので、原作の衣の「可愛さと異常な強さのミスマッチ」的な部分は薄れ、「年齢不相応の不気味な少女」っぽい演出になっている。中の人が子役らしく、使っている言葉をほぼ理解せずにしゃべっていることが画面から察せられる辺りもその辺を増幅している。
 同じ理由から正反対の意味で印象が変わるのが池田。タコスがギリギリギャグの領域に踏みとどまるべく頑張っているのに比べ、池田は完全にそっちではなくなってしまっているので、衣にボッコボコにされるところの痛々しさが半端ない。一応「リーチせずにはいられないな」とか「そろそろまぜろよ」は出るんだけど、0点にされてリーチもできなくなった時の悲壮感ときたら原作の比ではない。


・で、100分に凝縮されているため、咲さんの魔王っぷりも半端ないことに。こちらも、原作にあったトイレ我慢したりといったコミカルな要素が消えているので、特にその印象が強い。最後の嶺上前に衣に向かって話しかけたのはどうみても反則だ……。それと、やっぱり実写で嶺上開花だの海底撈月だの連発されると、やっぱりイカサマに見えるよなぁ、っていう(笑)。


・総評は冒頭に書いたとおり。制約の中での物凄い頑張りは感じるんだけど、そもそも新宿にも渋谷にも公開劇場がなく、池袋の公開劇場が小さめのシネマロサくらいで、あとは錦糸町とか川崎にいかないと、ってあたりで公開規模は知れている上に、昨日が公開初日だったのに、池袋の劇場は満員ではなかったという時点で想像がつくというか……。


・咲が好きで実写化に抵抗がなく、覚悟完了してる人なら楽しめると思います!

*1:ちなみに二番目も和が牌を両手で「シュバッ」とやるシーン。