頑張ってはいるけど……


 ここで「岸辺露伴は動かない」がメディア化されると聞き、合わせて実写版ジョジョ4部も見てみた。基本的なストーリーは漫画版と変わらないので、特にネタバレ配慮はせずに書いていこうと思う。

 全体的な感想としては、実写版デビルマンのような酷さはないし、ユアストーリーのようなダイナシ感もないけど、ところどころ残念なせいで印象が悪くなっているのかな、と思った。
 頑張っていると思った点と、残念だった点を列記していく。


・クレイジーダイヤモンド、スタープラチナ、ザ・ハンドといった人型のスタンドは見栄えしていた。特にアクア・ネックレスのCGは頑張っていた。


音石明を削除して吉良に挿げ替えたのは、いずれは第4部劇場版を完結させるつもりがあったのであれば英断だった。第四部は実質音石編と吉良編が大きく分かれているので、尺を短くするとしたらこうするしかなかっただろう。


・時間の制約でカットされたシーンがあるにもかかわらず「生命が終わったものはもう戻らない。どんなスタンドだろうと戻せない」や「おれの兄貴は最後の最後におれをかばってくれたよなあ~っ仗助~ 見てただろォ~?」といった、押さえるべき原作の人気台詞はちゃんと押さえていた。


・ここからは残念な点。ストーリーの改変点のうち、DIOの存在を削除したのが時間の尺の関係だとするなら「承太郎がスタンド戦闘に熟練していること」と「虹村兄弟の父親が不死の怪物になったこと」については説明が必要だった。特に後者は「そういうスタンド能力者がいる」あるいは「父親自身のスタンド能力が暴走してこうなった」的なことを一言だけ付け加えるだけでも良かったはず。


・人型のスタンドは頑張っているといったが、バッドカンパニーやシアーハートアタックとの落差が激しかった。あれミニチュアだよね? 違うとしたら見せ方がチープ。


・一番違和感があったのは、撮影場所。宮城県仙台市を舞台にしている物語をスペインで撮影するのはおかしいわ。制作時のインタビューだとなじみやすさが理由と言っていたけど、どこが?? スペインの町並みにセーラー服と学ランはマジで違和感しかない。虹村邸の庭にある噴水や女神の彫像に至っては、失笑すら出なかった。外国でロケする方が費用が掛かるだろうから、これは費用のせいじゃないんだよな。全体的に地に足がついてない、妙にふわっふわした感覚があるのはそのせいだろう。


・ストーリーの改変点は英断といったけど、それも考え方次第で、4部を劇場版として完結させて初めて評価できる点、とも言える。
 自分でも考えてみたんだけど、最後に杉本鈴美の名前が出てくるんで登場確定、とすると、岸辺露伴の登場もほぼ確定。音石が削除されてるんで次回作の冒頭で吉良と康一がすれ違い、露伴、鈴美との出会い……今回由花子がラブ・デラックスを使ってなかったんで、辻彩と統合して(位置づけ的にはしげちーも)シンデレラのスタンド使いになって吉良に殺されて、洋服屋での死闘で2作目が終わり。3作目でエニグマや鉄塔の男と戦いつつラストバトル、みたいなイメージだったんだろうか。


・ただ、世間的に岸辺露伴は動かないの実写版が評価が高くて、こちらの評価が低い理由は明確にはよくわからなかった。岸辺露伴は動かない、が面白いのは確かなんだけど……。そちらはジョジョの一作品としてではなくて、世にも奇妙な物語っぽい作劇法で作られていて、そのせいで違和感が少ないから面白いんだろうか。ヘヴンズドアーの演出なんてバッドカンパニーの比ではないほどチープなんだけど、こちらは全く気にならない。