思い出のない(?)PC

ホビーユースとして第一線で活躍した「PC-8801シリーズ」の後期モデルと、シミュレーションゲームの雄「光栄」


 前に本当にチラッとだけ書いたが、私はPC-88VAを持っていた。お金持ちの令息だった友人が、X68000を買ったからVAを安く譲ってくれるというのだ。条件は「友人宅まで物を取りに行き、自分で自宅まで運ぶこと」だけ。とはいえ、これが予想外に困難だったことは、前に書いたとおりである。
 しかし「もう一人のピコピコ少年〜」のエントリに、私は88VAの思い出を書かなかった。理由は簡単。友人には申し訳ないが、記憶に残っているゲームがないのだ。友人との記憶として印象に残るタイトルはワンダラーズフロムイースだけれど、それは88VAで遊んだ記憶ではなく、88VAを取りに行った時に見せてもらった、X68000で動作するイースである。譲ってもらった時、ソフトも込みの価格だったはずだが、何を譲ってもらい、何を遊んだかが思い出せない。
 それもそのはず、当時の5インチフロッピーディスクは紙製のエンベローブに入っており、耐久性が非常に低かった。劣悪な環境で持ち運んだせいか、それとも他の理由か、譲ってもらったソフトの多くは、間もなく読み込めなくなってしまったのだ。イジェクトボタンでディスクを何度も何度も出し入れしたのと、ディスク読み込みの「カッタンカッタン」という独特の動作音だけは記憶に残っている。
 新作を買えば、もちろんそんなことは起こらないわけだが……ここで、記事の中にもある半端な位置づけがネックとなる。PC-8801シリーズとの互換性が不完全で、かつ早期にシリーズとして見捨てられてしまった88VAは、対応ソフトがほとんどなかった。もちろん、自分で検証することが前提なら8801用ソフトを買うという方法もあったけれども、当時の私にはさすがに冒険すぎた。
 逆に言えば、そんな位置づけのハードだからこそ、その友人はX68000に買い換えたのであろうし、私に格安で譲ってくれたのだろう。信じられないほど破格だったので、感謝こそすれ、含むところは微塵もないわけだが……それはそれとして、ハードウェアの思い出は、と言われると……。
 あ、最初にソーサリアンを遊んだのは88VAだった、かも……(うろ覚え)。