思い出のない(?)ゲーム機

 一昨日のエントリの続きである。

 「88VAは遊んだゲームの記憶がないPCだ」と書いたが、ゲーム機でも似たような経験がある。ゲームギアだ。発売日直後に買う金銭的な余裕はもちろんなく、入手したのはかなり後になってから。一見すると、ゲームボーイとPCエンジンGTが似たようなシルエットなのに比べて、後のPSPに通じる横長のデザインはオリジナリティがあった。
 なのにゲームギアの記憶が薄い理由は簡単。ほとんどプレイしなかったからだ。それも、88VAがそうだったように「ソフトが高かったから」とかではない。電池の消耗が激しかったからでもない(それならゲームボーイやGTも条件は同じだ)。ただ単に、画面が非常に見辛かったからである。
 もちろん、これには斟酌すべき事情もある。当時カラー液晶は用途が少なくて技術がこなれておらず、歩留まりも悪かった。高精細な液晶を採用すればGTのように高くなる。ゲームボーイと勝負できる価格で、しかもカラーにしようとしたら、液晶の質はある程度捨てるしかなかったのだろう。
 横井軍平さんが「ライバルがカラーで出してくればうちの勝ちだと思っていた」と語っていたとおり、ゲームボーイの液晶は決して高性能なものではなかったにも関わらず、見易さという点ではゲームギアとは段違いの差があった。


セガの「ゲームギア」をTFT液晶化するキットが近日発売


 もちろん市場的な面では「話題性のあるソフトが少なかった」とか他の事情も考えられなくはない。しかし、携帯ゲームを偏愛していた当時の私の色眼鏡をもってしてさえ、ゲームギアの液晶は擁護困難だった。

 そして、ゲームギアの経験を経た私は、モノクロ液晶の信奉者になったのである。(近日中に公開されるであろうAKIBA PC Hotlineの98Do特集回に続きます)