白と黒の輪舞、再演

 先日、AKIBA Hotlineで「98DOについてはまた改めて」とあったから、次は98DOの話なのかと思ったらしれっと違うマシンの紹介だった(笑)。
 なので、先日のエントリの続きをここで書いてしまう。


 ゲームボーイゲームギアユーザビリティの差は、そのまま私の白黒液晶への信頼度となった。

 「もう一つの〜」でPC-9801Nを買ったエピソードを書いた時にはさらっと流してしまったが、実は当時私が探していたマシンはもう一つあった。それが98DOだ。PC-8801PC-9801の両方が動作するマシンという、未だに旧型PS3を愛用している私のような人間には夢のようなマシンだった。
 それでも、9801Nと98DOを天秤に架け、9801Nが勝った理由──因果は巡る。98DOの購入に踏み切れなかったのは、まさに友人が88VAを私に譲ってくれた理由そのものでもあった。置く場所がなかったのである。


 年寄りの繰言になってしまうが、当時のデスクトップPCは、ディスプレイから本体からキーボードまで専用の物が一式あるのが普通だった。


(画像はこちらから)


 汎用ディスプレイやキーボードのようなものは一般的ではなく、双方の形式に互換性があったかどうかも定かではない(むしろ、それゆえに互換性を確保したDOS/Vは勝ったのだとも言える)。しかも、今の液晶ディスプレイと違い、CRTディスプレイは画面サイズの割に非常に重く、嵩張り、取り回しが不自由だった。88VAに加えて98DOを買うということは、巨大なディスプレイを二つ抱え込むことであったのだ。


 そして、私はゲームボーイに連なる白黒液晶を信頼していた。


 今から見ると「白黒の液晶なんて白黒テレビみたいなものでは」という感覚かもしれないが、私にとっては違った。当時のゲームを含むPCの利用用途では、画面がぐりんぐりん動いたり、声優さんがアニメもかくやと声を当てることはなかった。静止画とテキスト、つまりテレビというより小説やマンガを読むような感覚だったのだ。全ページフルカラーのマンガ以外一切読まないという人は少ないだろう。
 その証拠に、というわけではないが、その頃読んでいたモバイル系の雑誌には、こんなコラムが書かれていたくらいだ。いわく「ノートPCの液晶はカラー化しなくてもいいから、その分バッテリの持ち時間と反応速度を上げてほしい」と。さもありなんと肯いたものである。


 しかし、結局世の趨勢はそちらには向かわなかった。液晶はカラーになり、消費電力は増え、稼働時間は短くなり──その結果、何が起こったかは、ご存知のとおりである。