散々突っ込まれてた

ファンタジーで「人間は特に優れた特徴はないが繁殖力がすごい」といわれていることがあるけど、耐毒性能や持久力などが評価されないのはなぜ?


 「デミヒューマンと比較するのと動物と比較するのは違うだろう」「そもそも、想定しているのがどの作品で比較対象がなんなのかわからないので議論しようがない」というツッコミはコメント欄を見たら嫌というほどされていたので、これ以上は突っ込まない(笑)。
 元のツイート主はTRPG畑の人らしいので、パッと思いついたところでいうと、フォーセリア世界なんかだと、エルフは滅多に子供が生まれないのでディードリットが大切にされてるとか「帰らずの森のハイエルフ」のドラマCDかなんかでいってた気がする(うろ覚え)。ただ、逆に暗黒伝説クリスタニアのラストで妖魔王が「妖魔は繁殖力が高すぎて、絶えず周囲に侵略戦争を仕掛けて数を減らさないと種全体が餓死してしまう」といってたんで、人間より繁殖力は高い。
 コメント欄ではあまり言及されてないけど、友好的デミヒューマンが人間より数が少ない(繁殖力が低い?)のには、合理的な理由がある。物語上の必然性からだ。我々読者は人間なので、人間に一番感情移入しやすいし、想像もしやすい。つまり一番バリエーションを持たせやすい。これが、世界で最も栄えている種族がドワーフで、ドワーフが数多の国家を形成しているといわれても想像しづらく「はぁ、それで」としか言いようがない。
 人間の持久力や耐毒性能が評価されないのも「それを描写しても物語に寄与しない」ことが多いからだろう。人間と動物の違いを描くこと自体をテーマとするけものフレンズとは作品性が違う。物語のために設定があるのであって、その逆ではない。そこを勘違いすると、TRPGでもそれ以外のメディアでも、たいてい不幸な結果に終わる。

アンティカの恐怖

 ──とまぁ、ここまでだと誰でも書けてしまうエントリなんで、続きはごく個人的な体験談を。


 実は、私が今まで色々遊んできたゲームの中で、その設定に一番恐怖し、生理的な嫌悪感を覚えた敵対的ヒューマノイドFF11の「アンティカ族」という種族である。
 TRPGMMORPG、様々な作品を見回した時、リザードマンやドラコニアンといった爬虫類、あるいはトログロダイトのような両生類は時折見かけるが、昆虫をモチーフとしたデミヒューマンというのは、D&Dに登場するごくわずかか、クリスタニアの「ミュルミドン」くらいしか記憶にない。そのD&Dに登場するごくわずか(モンスターマニュアルに登場する「ハイブブルード」)も、他のモンスターに比べてやたら生態が細かく書かれていて微妙にトラウマだったりするが、セッション中に出会うことは(幸運にも)一度もなかった。
 ところが、MMORPGであるFF11には、人間に対して敵対的な、それも強大な種族としてアンティカ族というのが登場する。モチーフはもちろん「アリ」で、純粋にゲーム中で出会った場合でも石化や範囲沈黙を操る厄介な相手だ。加えて、設定上は「種族の大部分が休眠状態にあるが、その状態でもガルカ族(PCとして使えるデミヒューマンの一種)の都市を滅ぼした」「全ての兵士を覚醒させると、現在の100倍以上の兵力となる」「恐るべき繁殖力と女王種への絶対の忠誠心を持ち、意思疎通はほぼ不可能(アンティカ同士では意思疎通をしている)」と、聞けば聞くほど背筋が寒くなる種族である。


(画像はこちらから)


 「タイタン」でのトカゲ人やドラゴンランスのドラコニアンの扱いを見る限り、西欧人は「爬虫類」に生理的嫌悪感があるようだが、元々昆虫類が苦手なのも手伝って、私にとっては圧倒的にこっちの方が恐ろしい。なんというか「話がまったく通じない」感じがするのだ。ラブクラフトが「人類が滅亡した後地球を支配するのは昆虫」と書いた気持ちに、なんとなく共感してしまうほどである。
 まぁ、上記のほとんどをご存じない方でも「アリだー!」がトラウマになっている人は少なくないと思うが……(笑)。