見て参りました(ネタバレあり)


 ガールズ&パンツァー、最終章第二話。見て参りました。
 以下、ネタバレ全開です。












(公開直後のガールズ&パンツァー最終章第二話のネタバレがあります)









(未見の人は回避推奨です)










・数日前の日記に書いたとおり、最初は「映画のパンフレットで上下巻ってどういうことだ」と思ったけど、実際に観てみて了解した。今回の第2話は「前半と後半」にほぼ完全に分かれる構成である。公開後にパンフレットを読んだが、ほとんど「前半部分」にしか触れられていない。つまり、パンフレット下巻の表紙の中心は……。


・その前半部分。前回ほぼ完全に大洗を騙し遂せたBC自由学園だが、騙すための元ネタになった「内部分裂」を逆手に取られる。いや、これTV版のマウスとかでも言われてたし、後半にも出てくるんだけど、戦車道の試合って相手チームの戦車って事前に公表されてるんだよね……? ルノーb1bisがいることを、なぜチェックしておかない……(笑)。(作劇上の理由? ごもっとも)


・私のなかではマリーの株が急上昇。よくよく考えると、この作品の他校の登場人物は、歴史上の特定の人物をモチーフにしていない(名前は引用していても、性格設定や立ち位置はまったく異なる)のに対し、マリーだけは、ベルばらをモチーフにしているという二重にメタ的な意味で、マリー・アントワネット自身がモチーフになっているっぽい。
 特に、権謀術数を駆使して相手を罠に嵌めておきながら、身内の分裂という深刻な落とし穴が開きつつあることに気づかないとか、自分のカリスマをもって分裂した各勢力の仲裁を図るが手遅れとか、最後にやられる瞬間も、悪びれずお菓子をぱくつくとか、試合後に相手校に惜しみなくお菓子を振る舞うとか、マリー・アントワネットそのものに見える。あくまでも私から見たイメージの話だが。


・今回のマリーの一番可愛かったシーンは、部下との通信で「安藤部隊を叩き潰してきます!」と言われて分裂に気づき、慌てて戦車に飛び乗るところ。その次が仲裁シーンで砲身の下からにゅっと体を出すところ、かな。ルックスはダージリンに似ているけど、動きが小動物的でちょこまかちょこまか動くのが愛らしい。


・カモさんチームはやられる瞬間に謝罪しているが、間接的にとはいえ、実はTVシリーズでも劇場版でも、1試合で1両で4両を撃破したチームは他にない(あんこうチームでも最高で3両)。大殊勲である。


・マリーは試合後に大洗に向かって「次は革命鎮圧しちゃうけどね」と見得を切っているが、BC自由学園でそれを言ったら安藤たちの立場がないのでは……。ただ、こういうことをサラッと言ってしまうあたりも、いかにもマリー・アントワネットっぽいけども(笑)。


・リニューアルしたボコミュージアム、アリスとみほ以外の客が2人しか映ってないんだけど。それに店員のやる気のなさそうな声……(笑)。あと、みほは台詞では確か「年間パスポート」と言ってるのに、実際のパスの表記は「潰れるまで有効」……。


・桃ちゃんの実家登場。「わし文具」はもちろん、かわしま文具の「か」と「ま」が落ちてしまったからだろう。
 で、桃の家族構成を見て「あれ?」と。前にここで見た設定(学研の何かが元ネタらしい)だと、弟妹が多いのは柚子のはずだったんだけど……。まぁ、今回最終章の脚本を作るにあたって、設定が変わったのかもしれない。


・コアラの森学園の描写が適当すぎて大草原。コアラに作戦のお伺い立ててるのかよ……(笑)。
 その他、第1回戦敗退校はグロリアーナと当たったワッフル、サンダースと当たった青師団、アンツィオと当たったボンプル、プラウダと当たったヴァイキング水産、黒森峰と当たったマジノ、継続と当たったヨーグルトである。このうち、戦車搭乗員の描写があったのは青師団とマジノだけ。キャスティングには「蕨、鴨乃橋、エクレール、エル、ヴィリディアナ、アンダルシア、マイコ」という所属校不明の表記が。
 多分蕨と鴨乃橋がコアラの森、エクレールがマジノ(これはコミックスで出ている)、エル、ヴィリディアナ、アンダルシアが青師団、マイコは……ポンプルが本当に一言だけ喋っていた気もするので、それかもしれない(ボコミュージアムの店員さんの名前という可能性も)。
 他のキャスティングはダブルキャストなのでわかるのだが……マジノのエクレールが本当に一瞬しか出てこないのに東山奈央さんがキャスティングされててビビる。もしかして続巻で出番があるのか……?
 トーナメントについては後述。


・そしてここから後半。後半の主役は第2回戦の相手、知波単学園である。立てば突撃座れば突撃、走る出オチ要員とばかり思われていた知波単学園が、大洗学園、そしてバレー部に感化され、恐るべき強豪として立ちはだかるという、観客の誰もが驚愕したであろう展開に。


・劇場版で知波単が登場した時、その前のキャラ紹介で「大会で黒森峰に敗退し、隊長を交代して改革した」とあったため「どこが改革したんだよ!」とみんなからツッコまれていたが、本当の新生知波単がここに爆誕。福田を参謀とし、西隊長に率いられる知波単が、BC自由学園のような変化球ではなく、直球で大洗を翻弄する。
 割と忘れられているかもしれないけれど、知波単学園のモチーフは確かに旧日本軍だが、実は学校としてはかなり裕福であり「物資の窮乏」についてはまったく縁がない(劇場版でも大量に戦車を持ち込もうとしていた)。物量に糸目をつけず、さらに性格的弱点を克服し、長所である機動力を最大限に生かしてくるのは脅威の一言。


・作中では福田の活躍が目立っているが、西隊長も特二式内火艇(艦これで有名な「カミ車」)を池に潜ませておくなど、劇場版の突撃バカと同一人物とは思えないほど抜かりない。しかし内火艇って戦車なのか!?(笑)


知波単学園が曳光弾で誘い込まれ、周囲を高地から取り囲まれる構図。これは言うまでもなく、劇場版の観覧車先輩と逆の構図である(あの時知波単だけが包囲の外にいたというのもなんとも皮肉である)。これは罠かもしれない、と看破する福田の姿は、TVシリーズのみほのそれを思わせる。これもまた第1巻と同じ、かつて追うものであり挑戦者であった大洗が、追われるもの、防衛者になるという展開。しかも知波単を成長させたのは大洗の存在そのものである。
 そして前回同様、ディフェンディングチャンピオンは完璧に研究されている。あの知波単が(!)、黒森峰や大学選抜をすら苦戦させたポルシェティーガーを「フラッグ車を攻撃して誘い出し、履帯を破壊して行動不能にし、撃破」までしてのけたのだ。


・「転進ではない、撤退だ! 我々は変わらなければならない。勝利のために撤退だ!」劇場版、らぶらぶ、スピンオフでずっと知波単を見てきた身としては、敵方でありながらその成長ぶりに不覚にも涙が。ほら、がるおじもう涙腺緩みまくってるからさ……。


・これ、3巻でも第2回戦の後半と準決勝の前半をやるって感じだろうか。しかし、そうなると巻数の計算が……。


・さて、トーナメント表である。2回見て(笑)、組み合わせは把握した(第1回戦の組み合わせと結果はパンフレットに書かれていた)。
 第2回戦は、大洗VS知波単、継続VSサンダース、プラウダVS黒森峰、グロリアーナVSアンツィオである。
 結果の予想としては……申し訳ないが多分サンダースは負けるだろう。これはメタ的な意味で、今回の知波単同様、劇場版で味方としてだけ登場した継続高校が対戦相手になるのではないかと思うからだ(サンダースはTVでやっているし)。天才肌というのは、今まで大洗が対戦したどんな相手とも異なる(しかしこの組み合わせ、大学選抜のルミとメグミの出身校同士の対戦なんだよな……)。
 同様に、Bブロックのプラウダアンツィオも、大洗とは既に対戦しているだけに、2回戦で敗退するのではないかという予想が成り立つ。特にアンツィオは、戦力的に大洗と互角かそれ以下なので、何度もドラマにしづらい。これが性格や未熟さが原因なら知波単のように成長させるという方法があるが、アンツィオの場合はハードウェア的にこれ以上強化できないという事情がある。これもメタ的な視点だと、ペパロニ役の大地さんをサメさんチームとのダブルキャストにしたのは、アンツィオの出番が少ないからではないかという気がしてしまう(カルパッチョはタカちゃん絡みで出れるが、ペパロニはそれができない)。
 あとは決勝戦の相手だが……アリスの編入先が決まっていないという話を引っ張っている以上、編入先=決勝戦の相手というのが順当だろう。黒森峰か、それともグロリアーナか。
 第2巻を見るまでは、黒森峰だろうと思っていた。因縁の相手であるし、TV版以降編成が変更された唯一の対戦校だからだ。しかし、2巻を見てグロリアーナもあり得る気がしてきた。理由は「今回、試合の解説役がダージリンからアズミに代わった」からである。これから対戦する相手が横から出てきて解説するのは違和感がある。だから外したのではないか。そして、聖グロリアーナはエキシビションを除く公式大会で、一度も対戦していない相手なのだ。この物語はグロリアーナから始まった。そこで終わるのも展開としては締まる。
 ただ、エリカの妙に悟ったような、覇気のない様子がなんだか気になる。あそこにアリスが入ってかき回すんじゃなかろうか……。


・今回のシリーズ、1巻の段階では「桃ちゃんの卒業ではシリーズのテーマとしては軽いから、どこかでどんでん返しが入るのではないか」と思っていたけれど……。2巻を観て、その認識が変わりつつある。「このまま桃の周囲を描写して、どうしても勝たなければならない状況に持っていって、そのまま大会を続けていくのもありか」と。
 というのも、戦車戦の描写そのものを見てみると、今回のシリーズは「もしTVシリーズの段階で、予算と製作期間が潤沢に与えられていたとしたらやりたかったことを実現する」のが目的のような気がしてきたのだ。それほどに、今回の「ジャングルの夜戦」は迫力があった。暗闇の中を飛んでいく曳光弾と、それを主観視点で猛スピードで追っていく戦車たち。知波単学園が突撃したくなる気持ちも分かるというものだ(笑)。
 それに、今回の知波単のように相手チームのドラマも描写しようとすると、片方にだけ悲壮なモチベーションがあるとバランスが崩れる。変に捻りを入れる必要はないのかもしれない。もっともこれ自体がミスディレクションという可能性は否定できないが……。


・一つだけ残念だったのは、今回の一回戦敗退組の活躍を、もうちょっと観てみたかった。アンツィオだって本編でアレだったのが、これだけ人気になったのだし……。