これこそイエローメディア


 これこそ、サイバーパンク時代のイエローメディア。鳥類学の博士だの、牧師だのという人たちが、石を投げられるとわかっていながらよくこの番組に出てくれたものだと思ったけれど、よくよく考えてみたら、これらの人たちが本物である保証はどこにもない。ナイトシティのホームレスにお金を掴ませて、本人そっくりに整形すれば、喜んでこの番組に出演しようという人間には事欠かないだろう。いずれにしても、この番組を見ている者達は真相が何かなんて気にしていないだろうから。
 これを見てもわかるように、2077の時代にはまだテレビ番組が(そしてラジオ番組も)生き残っているというのが面白い。この先現実世界のテレビがどのようになっていくかわからないけれど、少なくともナイトシティでは、テレビは一般的な市民が接するメディアとして現存しているのだ。しかしよく考えたら、この時代はもうインターネットは不良AIに封鎖されてしまって存在していないんだった。だとしたら、古き良きテレビが生き延びているのも分からなくもないか。
 



 ちなみに私自身は一度も遭遇したことはないが、テレビを見ているとこんなことも起こるらしい。ハッキングのようだけれども、先ほども書いたとおり、この時代既にインターネットは存在しない。ネットワークが干渉できるのは、あくまでも自分が目視できる範囲、あるいは自分が遠隔操作できるカメラの視界などの範囲に限られる。というわけで、離れた場所からVの自宅の端末にハッキングを行って番組を流すということはできないんじゃないかなと思う。
 つまり、これはハッキングによって実現してるわけじゃなく、電波をジャックして流しているということになるだろう。そう考えると(トーキョーN◎VAもそう呼ばれることがあるけれども)このゲーム、レトロフューチャーっぽい雰囲気はどうしても感じるし、恐らくそれもわざとやっているのだろう。