- 作者: 田中 公侍,グループSNE,北沢 慶
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2010/08/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
バルバロステイルズを読んでいて、どうしても解けない謎がある。
以前にも紹介したとおり、バルバロステイルズにはこれまで「蛮族」と呼ばれ、敵としてしか登場しなかった種族をPCとして使用するためのルールが紹介されている。
基本ルールブック1によれば、蛮族の定義は
「第二の剣を手にした荒ぶる“解放”の神々の力によって、凶悪な姿に変貌した種族の総称」
である。
先日紹介したブレイドオブアルカナ(BOA)のオークやヴァルフェー、あるいはアルシャードFF(ALF)のターマイトやダークワンの場合、それぞれ「闇の鎖の影響を受けた種族」「奈落の影響を受けた種族」と、本来は敵であることが強く示唆される種族でありながら、BOAであれば「聖痕の宿命を持つ聖痕者であること」ALFであれば「シャードに導かれるクエスターであること」が全てのPCの最低条件となるため、その行動規範は聖痕者、クエスターのそれに基づく。別の表現をすれば、オークだろうとダークワンだろうと、ルールで規定されたPCの最終目的は他のPCと変わらない。そのため、GMとしては行動が読みやすくシナリオが作りやすいというメリットがある。
ソードワールド2.0の場合はどうかというと、PCであるための条件は「冒険者であること」であり、蛮族をPCとして使う条件は「人族と一緒に旅ができる」ことだけである。本文を読む限り、PCとなる蛮族が他の蛮族と特に異なるメンタリティを持っているという記述はない。つまり、蛮族PCは冒険者であるということ以外、価値観も行動規範も蛮族そのものなのだろう、という推測が成り立つ。
ところがである。名誉点のルールには違うことが書かれているのだ。
ソードワールド2.0の冒険者は、冒険で持ち帰った「剣のかけら」を「守りの剣」に捧げることで名誉点を手に入れることができる。名誉点とは、すなわち冒険者としての名声だ。蛮族PC専用の名誉点の表にはこうある。
「人族よりも人族である」
「もはや蛮族と呼ぶものはいない」
「蛮族をPCとして使用する場合は、第一の剣に由来する神々に宗旨替えをすること」というルールでもあるのなら別だが、第二の剣の神に従う限り、誇り高き竜であるドレイクや、強さこそが唯一の価値基準であるダークトロールが「人間よりも人間っぽい」とか「もう人間そのものだね」と呼ばれることは、果たして名誉なことといえるのだろうか?
これは、決して些細な問題ではない。蛮族PCをロールプレイする上において、重大な問題だ。一言で言えば「蛮族PCとは、蛮族の能力を持った人族なのか、それとも能力同様、蛮族としての行動規範を持つのか?」ということだ。
とはいえ、この疑問に答えを出すのは難しいことではない。バルバロステイルズのルールを採用したリプレイが一本あればいいだけの話だからだ。
それも、できればにしかけみもじ氏以外の人が執筆してもらえると大変ありがたいのだが……(にしかけみもじ氏のリプレイはプレイヤー発言とキャラクター発言に線引きがないため、対象PCのロールプレイの指針を知るのには向いていないと思われる)。