終焉の足音が聞こえる

独占インタビュー! 『アイマス2』男性ライバルユニット“ジュピター”、そして“竜宮小町”の秘密を総合ディレクター石原氏に訊く!


 以前に、アイマスの開発陣はファンコミュニティの空気を読んでいると書いたが、どうやら買い被りだったようだ。全面的に撤回する。


 このインタビューからはディレ1の言いたいことの主旨が見えないのだが、この状況下で唯一許容し得るとすれば、前にも書いたとおりアイマス2がマルチプラットフォーム展開で、例えばPS3版では律子、亜美、あずさ、伊織がプロデュースできる代わりに別のキャラクターがプロデュースできない、という「アイマス2別バージョン」が発売される、とでもいうのであれば、それでもなかなかきっついものはあるが、なんとか納得できなくはない。ただキャラを減らしたといわれて許容できるファンがどれだけいるだろう。
 繰り返しになるが、プロデュース不可能なアイドルのセレクションがまずい。竜宮小町の4人が選ばれた理由についてそれっぽいことを言っているが、他のメンバーであっても理由付けをするのは簡単だ。半年間待っていられない性格、という視点でキャラを選んだのであれば、むしろ千早が入っていないのがおかしいし、ムードメーカーといったら春香を選ぶ方が自然だ。二人を外さなかったのは人気キャラだからだろう。逆に、うろ覚えだが、竜宮小町の4人は昔アルカディアか何かで行われた人気投票で下位にいた4人と合致する気がする。不人気なキャラを4人外しましたというのであればなんとも酷い話だが、確証はないので断言はしない。
 もし、容量の関係でどうしても4人減らさなければならない、というのであれば、一番波風が立たないのは、貴音と響だったはずだ。二人には気の毒だが。また、声優交代という状況を鑑みれば、雪歩もそれほど不自然ではない。なぜ彼女たちを選ばなかったのかが理解できない。
 4人減らすくらいなら全員入れ替えた方がまだよかったかもしれない。


 個人的には、男性アイドルユニットの登場についてはどっちでもいい。ライバルキャラとしてはありかもしれない。ただし、今まで悪徳記者どころか社長レベルの人物さえシルエットでしか登場させず、男性という要素を徹底的に排除してきたアイマスに、男性アイドルを普通に登場させるには、かなりの覚悟がいるはずだ。昨日までだったら歓迎してもよかったが……同時に発表されている内容を考えると、どうにも不安が拭えない。これで、765プロのアイドルと961プロのアイドルでの恋愛要素でも入っていたら、プレイヤーからは本当にそっぽを向かれる可能性が高いし、女性ファンにも受けないだろう。現状では、それすらありえないとは断言できない。
 

 しかし、961プロのユニットの話よりショックだったのは、オンライン対戦が実装されなかったことだ。これは実装されて当然と思っていたので、まさか実装されないとは思いもよらなかった。競うよりアイドルとのコミュニケーションを重視するプレイヤーが多かったからと言っているが、純粋に今のバンナムにはアイマス2に通信対戦機能を用意する力が残っていないというのが真相だろう。そのこと自体がショックだ。
 アイマスのプレイヤー/プロデューサーたちは、これまでニコニコ動画など外部のツールを使ってコミュニケーションを図ってきた。それは、ゲーム内でコミュニケーションするツールがなかったからだ。アイドルマスター2に通信対戦機能が実装されれば、ようやくそこでコミュニケーションを図ることができるはずだった。それがないのであれば、コミュニケーションの道具としてアイマス2は前とまるで変わらず、進歩していないということになる。
 開発スタッフがどう考えているのかわからないが、2で本当に必要なのは、アイドルたちの半年間の成長を描くことでもなければ、アイドルたちの内面を掘り下げて描くことでもない。ゲームというツールとしての進歩であり進化だ。
 半年後のアイドルたちの姿など、ニコマスでもSSでもいくらでも見れる。公式がそれらより良質の物語を創れるという保証はどこにもない。公式の創る物語が「3A07」を越えられると断言できるか?
 ニコニコ動画など非公式のファンコミュニティの存在を半ば公認するというのであれば、リリースされる公式のゲームがそれらに対してできることは一つ、ゲームが道具として正当な進化を遂げることだ。グラフィックの進歩も然り、対戦機能の充実も然り。公式の提供する「物語」はファンコミュニティに必須ではない。東方プロジェクトを見ればわかる。公式のストーリーがほとんどない東方が、二次創作三次創作によってあれだけ大きなコミュニティを築いている。
 公式がやるべきことはできるだけ良質の素材を提供すること。ゲームとして進化してさえいれば、大袈裟な話、登場キャラクターが全て一新されていてもプレイヤーに受け入れられる素地はある。逆に、ゲームとしての進化がないのであれば、コミュニティはやがて瓦解する。


 アイマスニコニコ動画は必要かもしれないが、ニコニコ動画アイマスは必ずしも必要ではない。 


 アイマス2はどのような結果を迎えるのか。今の私には見届ける勇気がわいてこない。
 一つだけ、いいことがある。それは、どうやらXBOX360を買わずにすみそうだということだ。