○○は逃げ出した!

東浩紀さん「プリキュアとかまどマギを見てればみんな同じというのは幻想。ぼくは海外に逃げられるが君たちは逃げられない」


 あんた真っ先に逃げ出したもんねぇ。
 でも「俺は逃げた! これは格差社会が悪い!」と言われてもそのなんだ、困る。


 逃げれない理由として経済的理由しか思いつかないこの人は、社会的責任とか道義的責任って言葉とはまったく無縁の世界で生きてるんだろうなぁ。
 もちろん、家族を守るため、という道義的責任を感じて「逃げる」という選択をする人もいるかもしれないし、それを責める気は毛頭ないんだけど、普通逃げれない理由のトップに来るのは、お金か? 誰も彼もが自分のいる場所を職場にできる人間ばかりじゃない。節電対策で会社全体が関西方面に移転するとか、そういう例の方がむしろ少ないと思うけど。逃げれるお金があっても身動きできない人だっているんだよ?

 あとこの人「見る側に経済状況その他諸々の差があるのに同じ作品を楽しんでる」ってことをやたら否定するけど、娯楽ってそういうもんじゃないの? 金持ちも貧乏人も、苦境にある人もそうでない人も、一時すべてを忘れて楽しめるから娯楽なんだよ。見る側の環境に違いがあったら一緒に楽しんじゃいけないなんて、そんなルールないでしょ、どこにも。
 そりゃ一番大変な時一番大変なところにいる人は娯楽どころじゃないかもしれないけど、そういう人だって息抜きは必要なわけで。そんな環境にいる人と、全然違う環境にいる人がまどかマギカを見てお互いに楽しかったと言い合うことがなんで嘘になるわけ?

 とはいえ……こういう思考に至る道筋は、なんとなくわかる。
 つまりこういう主張をする人は、常々ただの娯楽であり趣味であるはずのコンテンツに何らかの意味づけ、権威付けを求めている人なんだよね。自分が関わってるコンテンツはただの娯楽、趣味じゃないと思ってる(思い込みたがってる)からこそ有事の際に何も役割を果たせないことに無力感を覚えるんじゃないだろうか。まぁこれはただの邪推なんだけれど。
 そりゃただの娯楽なんだから、有事にそれ自体が何かの役割を果たすことはできない。でも前にもXenothさんのエントリを紹介したように、誰にも迷惑を掛けることなく趣味に時間を費やすことで充実した時間を過ごせるなら、それは素晴らしいことのはずだ。

 しかし、この人に限らず、娯楽であるコンテンツに意味づけ、権威付けを求める人は後を絶たない。特にコンテンツを作ろうとする人より、それを批評し批判する立場にあろうとする人に。