ゴールは1人


 順番があべこべになってしまったが、夏コミで同人誌を買い、制作にまつわるエピソードなどを読んだおおつきべるのさんのFF11本の最終巻を改めて買った。
 本人が同人誌で「コースも距離も途中でたくさん変更されて、最後にランナーも自分ひとりになっていました」と書いていたように、FF11のアンソロジー系コミックとしてはこれが最後、しかも前巻が出てから1年半以上経っている(なので、発売されているのに気付かなかった。今まで欠かさず買っていたのだが……)。1巻発売はなんと2005年、7年も前である。
 ギリギリで増ページを決めたという裏話があったが、ページもかなり多く、これまでの登場人物の伏線や設定を一通り消化して物語に決着をつけているのは素晴らしい。他の作家さんはアンソロジーという掲載誌の形態上、一話読み切りのいつ終わってもいいような構成にしている人が多かった中、あえて茨の道を行ったのも凄い。
 ラスト、主人公二人はレギオンで入手した装備らしきものを着ているのだけど、おおつきべるのさんのエピソードにはアビセアは登場しない(デュナミスはストーリー上重要な位置を占めている)。登場人物の設定的にも、1人のキャラが多数のジョブを上げている前提になっていない(1キャラにつき数ジョブ程度)。*1どことなく懐かしい、古き良きヴァナディール、というイメージの物語だ。ラストエピソード、ル・オンの庭に辿りついて一区切り、というのもかつてのジラート時代を彷彿とさせる。
 そんなわけで、今はもうヴァナディールを離れてしまった人にもオススメできるマンガである。ただし、1巻のタイトルが「ボーイ・ミーツ・ガール」であることからわかるように恋愛ネタが結構多いので、それに抵抗のない人であれば、是非。


 しかし、アンソロジーで単行本未収録の作品がどっさりあるんだけど、きっともう単行本化されないんだろうな……。

*1:今はアビセア導入でレベルが非常に上げやすいので、1人でたくさんのジョブを上げている人も多い。