創造主の悪意


 昨日の続きである。











 さて、この記事のどこが問題か。もう全文を抜粋するのは不毛なので問題と思う点を箇条書きにする。


・主人公(PC)たちであるナジャ(希望の灯火)は、光の精霊に導かれる存在であるとルールブックには書かれているが、実際には軍閥の指導者が勝手にそう名乗っていただけ。「光の啓示」はデタラメで、ナジャの証である「聖なる刻印」は見るものにしか見えず、PCの操る力「真力」も、感じるものにしか感じられない、つまり、単なる思い込み。


・屍毒(アンデッド)は単なる伝染病。治療法がないので患者を殺すしかなかっただけ。ならばなぜこちらを攻撃してくるのかというと、そうしないと殺されるから、つまり自衛のため。


・ルールブックに記載されている後の歴史が数十行に渡って淡々と記述されている。これによって、PCたちがどう活躍しようがバルナ・クロニカ世界の未来は変わらず、歴史も動くことはない。ココペリを除くすべての種族は混血により一つの種族となる。


 中でも1番と2番は酷過ぎる。真面目にバルナ・クロニカのキャンペーンをやっているGMがもしいたら、激怒してルールブックを破り捨ててもいいレベルだ。こんな「真相」を連載の最終回に書き殴られて、生み出されたゲームは不幸だったというしかない。
 特に1番については、捻くれた見方をすれば「バルナ・クロニカという一つのTRPGタイトルを使って他のTRPGを揶揄している」と読めなくもない。昨日紹介した序文がなければそんな穿った視点では見ないのだが、序文と合わせるとそう読めてしまうのだ。「お前たちは自分たちのことを選ばれた存在だと思ってるのかもしれないがそれは単なる思い込みで、権力者がそれを利用してるだけ」「お前たちが操る奇跡だの神業だの加護だのもみんな幻想」という図式は、PCたちを特別な存在にすることで当事者性を与えているゲームほとんどで成り立つからだ。
 もちろん、同じロールアンドロールで連載を持っているカオスフレアや、今号で巻頭特集されているエリュシオンなどもそんなゲームに該当する。

 先述の序文の後「途中でプッと吹き出さず、楽しんで読め」と書かれているのだが、この記事を読んでどう楽しめというのだろうか。誰が得をするというのだろうか。どれもこれもシナリオソースにすら使えない。吹き出すどころか読むほどにはらわたが煮えくり返るだけだ。

 今日は短いけれど(昨日が長すぎた……)次回に続きます。