ウサギの穴の落とし穴

 最初に結論から言おう。


 私は、現段階でTRPGを学校教育・課外活動・障害者支援・病児支援などに使うのは反対である。
 なぜなら使用を推奨している側が、それらの有効性について根拠を明示していないからである。


ラビットホール・ドロップス感想

一方、ラビット・ホール・ドロップスの著者紹介を見る限り、初心者向けTRPGを意図しており、また「学校教育・課外活動・障害者支援・病児支援など」への利用を想定においています。

TRPGを遊んだことがない人たちの間で、しかも、教育や障害者支援の目的で行うには、あまりにも無理があり、正直、危険ですらないかと思うのです*1。


 Xenothさんのこの意見に私は全面的に同意する。また、Xenothさんが4月17日のエントリで指摘しているように、医療行為や教育活動は単なる趣味や娯楽に比べ大きな責任が伴うにも関わらず、推奨している側は「現場にいる方々から高い評価を受けた」と言いながら、評価を下した人間の名前も肩書きも明らかにしていない。

それはさておき

 このゲームの用途はとりあえず置いておいて、ゲームそのものの内容についていうと、相変わらず伏見氏は心のルールブックに頼ってるな、というのが正直な感想だ。
 暴力的なのは望ましくないと書かれていながら、戦闘以外のルールがほとんどないことはXenothさんも指摘している。加えて私が気になったのは、このゲームが初心者向けを謳っているのに、GMに関する説明が全然書かれていないことだ。特にセッション前にやるべきこととしては、シナリオを作り、シナリオアートを描けとしか書かれていない。
 また、敵との戦闘のルールがあるのに敵のデータがなく、与えるダメージは武器の攻撃力なのに武器のデータがない。それは製品版に掲載されているというのなら、フリー版にはその断りがあるべきではないだろうか。