久しぶりに……キレちまったよ……

 今日は、TRPGに関するかなり辛口なエントリになりますので、嫌な人はここで回れ右で。一応折り畳んでおきます。















 「ロードス島戦記とメディア論」みたいな本。大塚氏とかが対談メンバーに入ってる時点で中身はお察し。
 読んでて爆笑したのは水野氏がロードス島戦記は僕の中ではライトノベル(本書176ページ)と語った部分。
 いや、ライトノベルの定義とか人によって違うし、それに文句つけるつもりはまったくないんだけど、貴方前に4gamerの対談で「自分が書いてるのはライトノベルじゃない」って言ってたじゃない(笑)。どう定義するかは人の自由だけど、それがコロコロ変わるのはどうなの?

TRPG業界がシュリンクしたのは何故か?

 で、笑えなかったのは本書172ページ冒頭以下の部分。要約すると「かつてTRPG業界がシュリンクしたのは、世代間対立が原因」と水野氏が語った部分だ。こっちは、読んでてこめかみの血管が切れそうになった。


 んなわけねーだろ。


 世代間対立が原因って、それ根拠になるデータあるの? それとも自分でコンベンションにいって、プレイヤーの生の声を──「後輩が反発してTRPGをやってくれない」とか──聞いたわけ? 私自身は、はっきりいってそんな主張する人聞いたことがない。
 逆に、TRPG業界がシュリンクした理由は世代間対立が原因ではない根拠なら挙げられる。
 それは、無電源ではないゲーム業界そのものがシュリンクしていないこと。水野氏の主張が正しいなら、同様の理由でコンピュータゲーム業界の市場規模も同程度縮小していないとおかしい(なお、この話は今の話ではなく、90年代後半の話である)。

 先日取り上げたクリスタニアが水野氏のもっとも偉大な部分だとすれば、この「TRPG業界が退潮した理由を誤認していること」は、彼の一番ダメな部分の一つだと思っている。

本当の理由は

 「TRPG業界がシュリンクした理由」(「今」ではなく「当時」の話なので注意)は、一言で言えば「マネタイズに失敗したから」。もちろんグループSNEも含めて(というかその筆頭)だ。立場上「TRPG業界がシュリンクしたのは自分たちがマネタイズに失敗したからです」とは言えないのだろう。
 もちろん、1ユーザーにすぎない私には、出版部数などを根拠のデータとして挙げることはできない。しかし、例えばRPGマガジンのページ構成などを見れば、TRPGが「マネタイズに成功した」トレーディングカードゲームの記事に取って代わられていくのは目に見えて分かった。何よりグループSNE自身が、当時TRPGのサポートをほとんど全て切り捨ててモンスターコレクションの展開に全力を注いでいたという事実そのものが、何よりの証拠だろう。グループSNEの内部で世代間対立があったかどうか知らないが、それを一般化して語られても困る。


 もっと分かりやすく言おう。自称日本で一番売れたTRPGであるソードワールドRPGを作ったデザイナー3名、水野氏、山本氏、清松氏のうち、今もTRPGを遊んでいる形跡があるのは清松氏だけだ(グランクレストは小説執筆のみでゲームデザインは矢野氏)。水野氏や山本氏がTRPGを辞めたのは世代間対立が原因なのか? もしそうなら「自分たちは今もTRPGデザイナーだが、下の世代にデザイナーがいない」となるはずだ。しかしそうはなっていない。
 ガイギャックスは死ぬまでTRPGを辞めなかった。水野氏はそうではない。クリスタニアやスターシップオペレーターズを「売れないから」と断筆した水野氏が「TRPGを諦めた」理由。それこそ、業界がシュリンクした本当の理由ではないのか。


 と、こう書くと「マネタイズが上手くいかなかったのは結果であって、原因ではない」と反論されそうだが、それについては次項で補足する。

ホントそういうとこだぞ

ウォーロックマガジンvol.1

ウォーロックマガジンvol.1


 かつてのTRPGゲームブック専門誌、ウォーロック復刻。というと喜ぶ人もいそうだが──かつてのウォーロックのダメなところがそのまま復活していて、ページを捲るたびに「ホントお前そういうとこだぞ!」と絶叫したくなった。

 本誌は、トンネルズアンドトロールズマガジンがアドバンスド・ファイティングファンタジーも扱うことにしたために、タイトルを懐かしのウォーロックに変更したという雑誌である。

謎の目次

 まず驚くのが、目次がページ順に並んでいないことだ。
 というと、良識ある人には「え?」とか言われそうだが、本当にそうなのだ。目次はゲームごとに分かれて書かれている。しかも、二つのゲームの記事がまとまっておらず、何故か交互に並んでいるのである。



 最初、頭から読み下した時にどうも読み辛い本だと思ったが当然だ。一つの記事を読むたびに別のルールを思い浮かべて読まなければならないからだ。さらにこの本、巻末から逆に読む記事が掲載されているが、その記事については目次に一切載っていない。

ルールはどこに

 次に、この本にはアドバンスドファイティング・ファンタジー2のソロシナリオやミニシナリオが掲載されているが、そこにはさらっと「ルールブックに従ってキャラクターを作れ」と書かれているにも関わらず、アドバンスドファイティング・ファンタジー2のルールブックは発売されていない。冗談のようだが本当だ。
 思わず本書を頭から最後まで読み返してしまったが、実はルールブック云々に触れられているのは表紙裏の広告のみで、しかもそこには価格だけが書かれており、発売日については一切言及がない(SNEの公式ページによれば5月初旬にイベントで販売らしいが……)。なお、価格は4000円である。
 

 これでルールブックを買おうという気になるだろうか。つまりこういうところなのだ。