要は面白いかどうか

漫画家「某女の子だらけアニメが最終回を迎え大感動のコメントの嵐、その多くに「王道万歳」とある。一方別の女の子だらけアニメは最終回直前に鬱展開で叩かれている」


 この発言だけを取り出すとアレなんだけど、実際この人のツイッターの前後をちゃんと追ってみるとそんなに不自然なことは言っていない気もする(言い方はアレだが)。某女の子だらけアニメというのがガルパンのことかどうかわからないけど、もしガルパンを指しているのなら「嫌味がなくて卒のない出来」というのはまったくその通りだと思う(というか、嫌味がなくて卒がない≒王道ってことだろう)。ただ、この人は同時に「ガルパンは1話と最終話しか見てない」とも言ってるんで、それだけ見ると聖グロリアーナに負けるシーンや華さんの実家のシーンとかも見てないってことになるから、そりゃストレスがないように見えるのも当たり前かもしれない(そもそも1話と最終話しか見てない人が作品を批評することの是非は置いておく)。

 でも、まどマギみたいに3話でメインキャラブッ殺すような作品も高い評価を受けてるということは、ストレスが無いこと=感動ってこともないと思う。Fate/Zeroだってメインキャラみんな死んじゃうけど、それを理由に評価が低いということはなかったし(私個人の好みは別にして)。
 問題は「期待されているものに対して何を見せるか」で、その意味ではガルパンは期待していたものを見せることができた、ということだろう。個人的には「最終話で負けて終わり」もありかな、とは思ったけれど(ラブライブは見てないので評価はしない)。もちろん理想的には期待に応え、さらにそれの上を行きいい意味で期待を裏切れればそれに越したことはないけれど、いい意味で期待を裏切ろうとしてただ単に期待を裏切る作品がどれだけ多いか。例えば女の子アイドルを育成するゲームで男性アイドルユニットをフィーチャーしてプレイヤーをドン引きさせる作品。ギャルゲーのアニメ化で最終話でメインヒロインをフッて幼馴染とくっつき、後のフォローがなく見た人を唖然とさせた作品。嫌味がなくて卒がない、ただそれだけの作品を作ることがいかに大変か、先人たちが身をもって教えてくれている。
 「最終回直前に欝展開で叩かれている」作品は、視聴者がそれを求めていたのか? というのが一番の問題だろう。もしこれがエヴァなら「なんで欝展開を入れた!」といって怒る人は(たぶんそんなに)いないわけで……。

西住みほは努力家か?

 ただ、これは明確に作中で描かれているのが「みほは天才だ」ということ。努力型のキャラクターではないので、作中でみほが勝利のために修練を積むシーンは、ほとんどない(チームメイトにはある)。ガルパンはスポーツ物の作品に似ているが、主人公が強くなるために努力するシーンがないという意味においては、ストレスはないかもしれない。
 その代わり、ラジオドラマやTV1話を見ると、天才独特の「普通の人間とはセンスが違う」ことを描写しているシーンがいくつかある。いい意味でも悪い意味でも。友達でもなく会話も交わしたことがないのに相手のプロフィールを暗記しているというのは普通じゃないし、沙織が財布を落としたといったときにもなぜか一人だけ掃除用具入れや体育館の跳び箱、マットの中を探してチームメイトを呆れさせていた(ラジオドラマより)。


http://girls-und-panzer.jp/


 むしろ、みほは能力よりも天才ゆえに人間関係のほうに問題を抱えるタイプで、その辺りは「リトルアーミー」を読めば、そちらでは挫折もストレスもある物語が展開されていると私は思う。