地吹雪のカチューシャは


 うーん……。申し訳ないけど、今回は才谷屋さんによるガルパンのコミカライズの中では、一番厳しい評価をせざるを得ないかも。といっても、描かれたことに問題があるんじゃなく、描かれていないことに問題がある。
 もし、他のメディアでガルパンという作品を知って、例えばテレビ版を全話視聴した人間がいたとして、「ガールズアンドパンツァー・フェイズ・エリカ」というタイトルと作品のあらましを知ったら、まず最初に期待するのは何だろうか。
 そう、それは「昨年度の決勝戦、黒森峰学園とプラウダ高校との試合において、何が起き、その結果がどうなって、それがあのテレビ版第1話に繋がったか」だ。みほとエリカの相克を描くのであれば、それこそが最も重要のはずだ。
 その肝心の決勝戦を、なぜ最終話1話だけでダイジェスト展開にしたのか……。
 既にTV版で描かれているから? いやいや、違う。僚車水没に至るまでの経緯、そしてその時、プラウダ高校は一体どうしていたのか、いかなるメディアでも描かれていない。
 私個人として一番興味があったのは、一年前のカチューシャがどうしていたのかだった。TV版の本大会でみほを煽ったカチューシャの台詞──しかし、カチューシャとノンナは1年前はまだ2年生だ。二人は既にプラウダ高校の中核にいたのか? それとも頭角を現したのは3年になってからだったのか? 天才カチューシャに先輩たちはどう接していたのか? その他諸々、知りたいことは幾つもあった。
 TV版本編で7秒で終わったアンツィオ高校をコミカライズで膨らませた才谷屋さんだからこそ、それに期待していたのだが……。公式設定と矛盾が起きることを危惧したのだろうか? しかし、アンツィオ高校の設定自体もパラレルワールド扱いである。才谷屋さんとしての解釈で、1年前の決勝戦を描いてもよかった、あるいは描くべきだったと思うのだが……。