ユーザーが増えるのは大歓迎、しかし……

【炎上】突然のPC版『ドラクエ10』発表にユーザーから怒りの声 「WiiUユーザー舐めてるとしか思えない」


 これまたまとめサイトの人は「タブコンでできるからいいじゃない」「中身は一緒だ」と意見を述べてるけど、私はこれは完全に問題を履き違えてると思う。

 前にも書いたように、私は基本的にオンラインオフラインを問わず、ゲームのプラットフォームが増えるのは歓迎すべきことだと考えている。オンラインゲームならばなおさらのことだ。だから「WiiU買っちゃったじゃないかふざけるな」という意見に対しては「別にPCに移植されたからって買ったWiiUが消えてなくなるわけじゃないんだけど」というのが正直な感想だ。
 しかし、不安点は別のところにある。業者対策だ。そのうち「DQXがFF11より進化しているところ」というタイトルのエントリで改めて書こうとは思っていたんだけど、DQXはFF11と違っていまだ取引所を中心とする貨幣経済がちゃんと成り立っている。アクセサリを除くほとんど全ての装備は他人とのやり取りが可能で、ゴールドが貨幣として流通している。反対に、FF11ではもう何年も前から貨幣経済は成り立っていない。競売では消耗品以外のアイテムはほとんど買う意味がないし、競売で取り扱われている最強の武具で全身を固めても、コンテンツへの参加はおろかまともにストーリー(ミッション)を進めることすらできない状態が5年以上続いている。
 貨幣経済が成り立っているのは歓迎すべきことだろう。プレイヤー間の共通の尺度でゲーム内のアイテムを計ることができるし、各コンテンツ間に柔軟性が生まれるからだ(逆に言えばFF11は新規ユーザーは進行不可と言っていいほどほぼ完全に詰んでいる)。ただし、その代償としてRMT業者の跳梁を許してしまう。プラットフォームがWiiしかなく、ツールなどの開発が困難であるはずの現段階で、既に相当数の業者がアストルティアで活動している
 「Wii買って損した、金返せ」という意見はある意味論外としても「サーバを分けてくれ」という主張には一理ある。FF11もプラットフォームがPCに広がったことでツールが蔓延し、業者の活動範囲は飛躍的に増大した。少なくともPC版発売まではFF11でも貨幣経済は成り立っていたのだ。それが、PC版の発売以降、データの解析やツールの使用が一部の悪質プレイヤー*1や業者の間で常態化し、ひいては「事前に攻略サイト見てないプレイヤーは参加不可」とまで言われたプロマシアディスクの惨状に繋がり、貴重なアイテムを業者が独占したことから競売が機能しない状況へと繋がっていく。REPなどという物が生まれ、ダメージが1上下するだけで他プレイヤーを蔑視する風潮が生まれたのもPC版以降だ。
 スクウェアエニックスは業者への対応に関していえば同業他社に比べて決して後れを取らないが、しかし根本的な対応ができていないのも事実だ。FF11で業者が今も活動し根絶できていないのに、DQ10で対応策もないままPC版を発売することにユーザーが不安を感じるのは当然だと思う。その意味では、私はPC版の発売は歓迎するものの、どちらかといえばPS3か4、PSVita、あるいはXBOX360などPC以外のプラットフォームへの移植のほうがより望ましかったと思う。


 果たして、アストルティアはヴァナディールの二の轍を踏んでしまうのだろうか? 

*1:悪質と呼ぶのはこれが規約違反行為だからだ。repは使って当たり前と言われるほどまで普及してしまったが、規約違反であることには変わりがない。私はツール使用全面否定主義者である。理由は繰り返しになるが「規約違反だから」である。ルールを守らずに娯楽を遊んで楽しいとはまったく思えない。