エルミナージュ3の話


 とりあえず、今までエルミナージュ3を遊んでみた全体的な印象と感想を適当に箇条書きで。


・事前の評判を聞いた限りでは2よりもポジティブな評価をしてなかったんだけど、実際やってみるとやっぱり3の方が進化している。前にも書いたけど、一回遊んでしまうと2には戻り辛い。


・個人的に大きかったのは、スタイルロードに相当するステータス画面等のキャラグラフィック表示。2まではグラフィックの表示は画面下の小さいフェイス表示だけだったのだが、このスタイル表示で印象としては世界樹とかに近くなった気がする。私は想像力至上主義者ではないので、こういう変更は大歓迎だ。ただ、残念だったのはグラフィックのパターンが限られていること。各種族男女1パターンずつ(色違いあり)、職業ごとのグラフィックに至っては男女の違いすらない。2までは人間*2、エルフ*2、フェアリー*2のパーティだったんだけど、グラフィックが被るのは嫌だったので、仕方なく人間、エルフ、ドワーフ、ホットルート、フェアリー、ノームに編成を変えた。フェイスロードやスタイルロードを使うことが前提のシステムなのかもしれないが、私自身はフェイスロードもスタイルロードも使わないのがポリシー。せめて職業グラフィックは男女別を用意してほしかった……。


・あと、今回の大きな変更点である昼夜の概念と天候の概念も、なんとなく世界の生活感のようなものが増したようで個人的には気に入っている。夜に帰ってきて宿に泊まると外が朝になってるとか、そんな雰囲気が好きだ。実際ゲーム上では「夜に門前払いされる施設がある」とか「ダンジョンの敵が変化する」とかそんな違いなのだが。あと、気候は魔法の威力に影響を与えるが、実際の進行に直接影響を与えるのは「天候が嵐でないと侵入できないダンジョン」というギミックになっている。


・同様に、今回新しく導入された「フロアマスター」。世界樹のFOEじゃねえかよ! というツッコミが出そうだが、実際プレイしてみるとこれくらいのバランスの方が私にはちょうどいい。世界樹のFOEの場合、パズルゲームのようにFOEを躱すために知恵を絞るか、あるいは力づくで撃破できるようになるまでレベルを上げるかの二択しかないイメージだが、エルミ3の場合、極端な話マハマハさえあれば100%逃走できるため、そこまで神経質にフロアマスターに注意を払う必要はない。マハマハがない場合、あるいは別の回避手段として、思いっきりフロアマスターを引き付けたあとティオメンテでフロアマスターの反対側に回り込んで振り切るという方法もある。ただ、危機感を与えない存在かというとそうでもない。特に後半の「ティオメンテ・ハニラストラ不可」というダンジョンでその真価が発揮される。マハマハの回数に限りがある中、フロアマスターの追跡を振り切るために、あえてルームガーダーに突っ込むかどうか判断を迫られる状況になるからだ。


・また、これも新要素になるが「エクストラスキル」について。エルミナージュシリーズにおける職業や呪文、あるいは錬金システムはほぼ完成されているため、これらに新要素を追加するのが難しかったのか、完全に新しい能力として登場した。1PCにつき1能力、訓練所で付け替えが可能で、職業によってつけられるものとそうでないものがある。これは意外に便利だった。特に、私のパーティにはいないが「魔術の精髄」持ちの魔術師はWIZお馴染みの呪文抵抗を完全に無視して魔法をブチ込める代物で、結界を使う敵以外には確実にダメージを与えられる。後半ツバメ返しされまくる通常攻撃よりもむしろ信頼度が高いかもしれない。個人的に重宝しているのは「食いしばり」。これはHPが0になっても戦闘中1回だけHP1で踏みとどまるというもので、死ぬとペナルティのある今作(DL版のみ)においては初見殺しの開幕ブレスとかを防いでくれるので非常に役に立つ。前衛系の能力なので、全員につけられないのが残念だ。私のパーティのエクストラスキルは他には「分身」「魂の盟約」「百識」である。特に百識は持ち帰る前に鉱石の練度がわかるのが便利だ。


・新要素を除いた部分の完成度は、残念ながら2より低いと言わざるを得ない。大魔公に関するストーリーも2のハロルドとシャンティーバのような凝ったエピソードが少なく、肝心のヒズベルトのストーリーは尻切れトンボのまま終わってしまう。ゲーム後半だけではなく、前半の通常のクエストでも「え、ここで終わり?」というところで話が終わっているものが見受けられる。この辺りは、明らかに「小宮山さんが途中で抜けたせい」と言われても仕方がないだろう。


・全体的にゲームそのものの対象レベルは上がっている、と思う。ウルナス・ラーデとセリオン・ダエラを比較すると特にそう感じる。前作までとほぼ同じ敵でもエクストラスキルを持っていて食いしばりで耐えてきたり、組み合わせが危険になっていたり。ある人がブログで「レベル100までセリオン・ダエラには踏み込まない」と言っていたが、まさにそれくらいないとまともに戦えないのではないだろうか。あと、DL版で追加された「蘇生で加齢」が地味にきつい。即死系の能力を持っている相手の脅威度が跳ね上がるからだ。前にも書いたとおりこのゲームの若返りの手段は限られているため、死んだらリセットする(まさに旧WIZのような)パターンが増える。ということは、頻繁に帰ってセーブするか、あるいは経験値を稼いでいても死んでまたセーブ地点からになることが多くなり、結果的に単位時間当たりで稼げる経験値がUMD版に比べて少ない。前作に比べて難易度は高くなった、と言えるのではないだろうか?


・この後に発売された某作品の評判とは異なり、エルミナージュ3は楽しめている。が、それだけに細かい粗の部分が残念、という印象だ。しかし、それを理由に放り出したり諦めたりしてしまうほどではない。だからなおさら惜しいのだが……。
 さて、大魔公との戦いと周回プレイが待っている。まだまだこれからだ。