外伝か、シェアードワールドか


 昨日ブリリアントパークの5巻を買った時、並んでいたので一緒に買った一冊。表紙絵が同じイラストレーターなので一瞬錯覚したが、シェアードワールド、つまりブリリアントパークの舞台設定を使っていながら別の作者による作品である。
 艦これとかもそうなんだけど、同じ題材で違う作者が書く、っていうのは良い点もあるし悪い点もある。読者としては入り込みやすいが、設定や登場人物などが共通するためどうしても比較してしまうのだ。これが七都市物語をシェアードで書いた小川一水さんみたいに、既に独自の作風を確立している人なら別個の作品として読めるんだけど(そもそも小川さんの七都市は設定が同じだけで傾向が全然違った)。
 賀東さん自身も過去に蓬莱学園で、散々新城さんや他の作家と比べられたことだろう。それでも蓬莱はキャパシティが高かったからいろいろな作風も受け入れられた。しかし、賀東さんの前作を引き継いだ、フルメタルパニック・アナザーがそうであるように、これもどうしても元の作家と比べてしまうのは私だけではないはずだ。アナザーもメープルサモナーもなまじイラストレーターが元と同じなだけに、なおさらである。
 その意味では、割り切ってイラストレーターも変えてしまい、共通する登場人物も出さない、とやった方がよかった気もする。少なくとも、5巻で映子を気遣い、娘のために涙を流したマカロンが、こちらでは残りの二人と一緒にテナントショップにみかじめ料を要求している──なんてのを読むと読者としては「ん???」と思ってしまう(もちろん内容には許可を取っているのだろうが)。
 私自身はどうしても蓬莱学園を思い浮かべてしまうので、ブリリアントパークがいろいろな作風のいろいろな作家によっていろいろな視点から描かれるシェアードワールドになるのであれば大歓迎なのだけれども……。