ついに20年来の謎、解ける


 ぶっ飛んだ。


 トーキョーNOVA1stエディション発売以来隠されてきた、最大の謎。


 “災厄”はなぜ起こったのか? ついにその真相が明かされた。


(以下、超絶ネタバレとメタ的な考察があるためルーラー以外、あるいはネタバレが嫌いな人は絶対に見ないこと)












 さて、20年の時を経て明らかにされた“災厄”の真相。私が気になったのは、この“真相”はいつから存在したのか、ということである。
 実は、我々ユーザーが思うよりずっと前から(少なくとも一部分は)存在していたのではないだろうか。
 最初に世に出たツクダ版トーキョーNOVAから長い時間が経ち、設定も時代に合わせて変遷しているように見えるが、少なくとも最初の2冊のルールブックのうち1冊の表紙は、上にアルファ、下にオメガのイラストが描かれたものだった。*1この構図と世界設定に全く関連がないと考えるのは無理がある。


 ルールブックの箱イラストの中央に燦然と輝くアマテラス。


 「私は始まり(アルファ)であり終わり(オメガ)である」聖書から採られた一対の名前。


 最初のルールブックにアルファの名前こそないが、明らかにアルファは最初からアルファだったはずだ。そしてアルファがいてオメガがいるなら、他の文字に対応する「存在」も考えられていておかしくない。すなわち、アルファに始まりオメガに終わる22体とも26体とも言われる超AIの存在。そしてアルファがアマテラスの管理AI、オメガがイワヤトの管理AIであるという設定は、かなり初期から考えられていたのではないかというのが私の予想である。

 さらにもう一つ。真教の救世母がこれら超AIの一つであることも早いうちに決まっていたのではないだろうか。

 トーキョーNOVAというTRPGは当初「トーキョーNOVA」「オーサカMOON」「カムイSTAR」「バベルDOOM」の4作をもって完結するTRPGであるとされていた。*2
 かつて「R」が発売された頃に、JGCでNOVA関連のイベントが開催されたことがある。来場者への「一番発売してほしいサプリメントは」というアンケートに対して最も多かった回答は「バベルDOOM」だった(それまでにカムイSTARまでは発売されていた)。
 そのアンケート結果を見て、遠藤氏がポツリと呟いた台詞を、私は今でも忘れていない。
「バベルDOOM出たらNOVA終わっちゃうんだけど、みんないいのかな」
 バベルDOOMは軌道を舞台にしたサプリメントのはずだった。バベルといえばバベルの塔だし、軌道が関わるのは納得がいく。しかしDOOMとは何か。「ドーム」であり文字通りの「DOOM(ドゥーム、災厄)」である。そして、真教の聖地が「ドゥームド・モスク」であることは、最初のルールブックで既に言及されていた。*3
 NOVAに始まり、DOOMに終わる。NOVAの鍵を握る存在と、DOOMの鍵を握る存在には何らかの繋がりがある(≒両者は類似した存在である)と考えても、あながち見当違いではないはずだ。


 「R」の発売まで紆余曲折があったせいなのか、トーキョーNOVAの“軌道”に関する設定が公開されるまでには、Rのサプリメント“ストレイライト”の発売を待たなければならなかった。しかも、そこには“災厄の真実”はどこにもなかった。それからまた長い時間を経て発売された今回のサプリメント「ビハインド・ザ・ダークネス」こそ、ついに世に出ることのなかった「バベルDOOM」のもう一つの半身が姿を変えたものなのではないだろうか。
 だとしたら、NOVAの世界はこれで終わってしまうのか? 恐らく違うだろう。その逆だ。
 ツクダ版はもちろん、「R」が出た当時とも、もはや時代は変わった。今ならDOOMを世に出しても、災厄の真実を明かしても、NOVAは終わらないという確証を得たのだと、いやむしろ、それを超えてトーキョーNOVAというタイトルが新しい時代を迎えるのだ、という製作スタッフの決意表明なのだと、私は受け取った。

*1:しかも、2人の頭部に接続された機械は同種のそれに見える。

*2:このことは2ndエディションの後書きに記述されている。

*3:実は、これまでいくつかのサプリメントで「荒唐無稽な説」とされていた「“災厄”は日本が意図的に起こしたもの」という説も、それなりの論拠があった。が、その論拠は訳あってここでは触れない。