もう一人のピコピコ少年の思い出(10)

 今日紹介するゲームは、私のなかではそれほど昔のゲームというイメージがない。このブログを見ている友人のなかにも、もしかしたら渋谷会館でこのゲームをプレイしている私の姿を記憶している人がいるかもしれない。閉館まで存在していたか定かではないが……かなり後になるまで、このゲームの筐体は、少なくとも渋谷会館には置かれていた。ただ、あそこはレトロゲームの集う場所でもあったので、むしろ「あそこに残っていたことこそ異常」だったのかもしれないが……。



 このゲーム、ダライアスの特殊筐体をそのまま使っており「3画面を横一列に投影する」形になっている。従って横が凄く長い。
 どうしてこのゲームに熱中したかというと、一番の理由は恐らく中学の時に通っていた学習塾の最寄のゲーセンに置かれていたからだろう。小さい頃からこのパターンが多いが、中学の頃には既にゲームセンターに通うことに躊躇がなくなっていた。
 さらにこのゲーム、忠実な家庭用移植がなかったというのも後々までアーケード版をプレイした理由かもしれない。後年PCエンジン版をプレイしてみて驚いた記憶がある。
 上の動画を見ればわかるが、アーケード版は本来、自機の後ろから迫ってくるナイフ兵の攻撃は「前に歩き続ける限り決して当たらない」ようになっている。ナイフを刺す前に立ち止まるため、モーション中に攻撃範囲から逃れられるからだ。しかし、PCエンジン版はこれがない。よって、前後から迫る敵は自機に接近された時点で必ず倒していかないとダメージを受けてしまう。また、1面ボスのクノイチの動きも変わっており、アーケード版だと「防御してしゃがんで接近」すると上をジャンプで跳び越そうとしてくるので後ろに回って斬る、というパターンなのだが、PCエンジン版はこっちが何をしようがひたすら太刀を頭上から振り下ろしてくるという妙なパターンになっていたりする。
 そして何より、シート下のスピーカーから聞こえる重低音は、効果音*1も含めてゲームセンターでしか味わえない迫力を醸し出していた。BGMはあの「ZUNTATA」の傑作である。
 意外といえば意外なエンディングとともに、私の記憶に強く焼きついた作品の一つである。

*1:コイン投入音と2面冒頭の犬の倒れる鳴き声のインパクトが強かった。